2019 Fiscal Year Research-status Report
熱傷による血中ビタミンD減少の病態解明と補充療法の有効性について
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19K18364
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 幸男 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00445272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マウス / 熱傷 / ビタミンD / 耐糖能異常 / 筋消耗 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は熱傷による骨量減少、筋消耗、耐糖能異常、免疫能低下がビタミンDにより骨髄内の幹細胞、マクロファージや樹状細胞、筋芽細胞の受容体を介して、何れの現象をも回復されることが理論的には期待され、それを動物モデルで機序を含めて実証しようとするものである。研究計画は下記の通りである。 ① 熱傷モデルマウスをビタミンD治療群と非治療群に分け、腓腹筋および前脛骨筋を用いて筋容積や重量の測定、AMP、ADP、ATPなどのエネルギー代謝に関わる物質を質量分析装置などで測定、筋線維のミトコンドリア形態変化の有無を電子顕微鏡などで比較する。また、大腿骨における骨密度をCTないしDEXA scanを用いて比較する。 ② 熱傷モデルマウスのビタミンD治療群と非治療群でインスリン感受性試験等を行い、耐糖能を比較する。 ③ 熱傷モデルマウスのビタミンD治療群と非治療群で血液検査により血中ビタミンD濃度、血清カルシウム濃度やオステオカルシンやスクレロスチンなどの骨形成に関わるホルモン値、および耐糖能に関わるインスリンなどの血中推移を追跡する。 ④ 熱傷モデルマウスを用いた敗血症モデルを作成し、ビタミンD治療群と非治療群で血液検査により白血球分画や血中の炎症性サイトカイン量を比較するとともに、生存率が改善するかを比較検討する。 初年度(今年度)の研究計画としては、上記①と②を実施する計画であった。その結果が有意なものであれば、次年度以降にその作用機序を明らかにし(上記③に該当)、更にその次のステップとして熱傷に敗血症という侵襲が加わったときにビタミンD投与が効果をもたらすか(上記④に該当)を予定していた。これまでのところ、主に研究を実施する環境が整備できた状況である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究環境の整備の一環として行った、東京都からの麻薬研究者の免許申請手続きに許可まで6か月を要し、2019年12月に許可が下りた。この手続きに想定以上に期間を要した。2020年1月より順次実験を開始したが、同年2月からは新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、事実上動物実験を実施できない状態に陥ったため、未だ新規のデータが得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い研究施設での研究実施が事実上行うことが出来ない状態である。この環境が改善し次第、再開する。研究計画には夫々の研究実施期間に若干の余裕を持たせており、その期間分を短縮すれば元来の計画通りに実施できるものと考えている。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅延により2019年度に実施できなかった研究を2020年度に実施する計画としたため、次年度使用額が発生した。
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