2020 Fiscal Year Research-status Report
熱傷による血中ビタミンD減少の病態解明と補充療法の有効性について
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19K18364
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 幸男 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00445272)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 熱傷 / ミトコンドリア機能不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は熱傷による骨量減少、筋消耗、耐糖能異常、免疫能低下がビタミンDにより回復されるかを動物モデルで機序を含めて実証しようとするものである。研究計画は下記の通りである。 20%体表面積の熱傷を受傷したモデルマウス(熱傷群)と対照群において受傷後1,3,7日目における腓腹筋のメタボローム解析および電子顕微鏡観察によるミトコンドリアの形態評価を行った。その結果、熱傷群の腓腹筋の委縮は有意ではなかったが、受傷後1日目にミトコンドリアの減少がみられること、解糖系亢進によるエネルギー産生を行いATP量が維持されることが明らかになった。これにより、熱傷後急性期に何らかの作用により熱傷部位と離れた骨格筋において、ミトコンドリアが減少して好気呼吸が出来なくなり、代わって解糖系亢進によるエネルギー産生が起こることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症流行の影響で研究施設の一時閉鎖、研究者自身の研究時間の短縮を余儀なくされ、また解析手法の見直しを行い、再実験を行ったため信頼できるデータが得られるまでに計画より多くの時間を要し、現在は計画の概ね半年遅れで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結果は予測した結果と概ね変わらないものの、その結果が得られる時点が熱傷受傷後1日目と想定したよりかなり急性期の時点であり、ビタミンDの治療的投与が影響を及ぼせる時点であるか慎重に検討を要する。今後の結果によってはビタミンDの治療的投与よりは予防的投与或いは非摂取群でおこる変化を捉えた方が意義のある研究となる可能性を考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行の影響および、解析手法の見直しに伴う再実験のため、半年間研究実施計画に遅れが生じたため。今後は2020年度に遅れた部分の計画と元々2021年度に計画していた内容を合わせて実施する。
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