2020 Fiscal Year Research-status Report
画像診断によるグリオブラストーマ腫瘍幹細胞の局在評価
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19K18377
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
松田 憲一朗 山形大学, 医学部, 講師 (90536971)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膠芽腫 / 腫瘍幹細胞 / 播種 / 遠隔再発 / 遺伝子学的検索 |
Outline of Annual Research Achievements |
当科で診療を行った初発膠芽腫の摘出術施行症例について検討を進めている。現時点で40症例について、術前MRIによる神経放射線診断学的特徴を、メチオニン(11C-methionine)PETの画像より、その集積の程度と分布を評価することができた。 各症例の手術においてはナビゲーションシステムと術中MRIにより術前画像診断で予定した複数箇所の部位から正確に組織標本の採取を行っており、標本の蓄積を行っている。 摘出標本においてそれらの部位における腫瘍幹細胞の存在を病理組織学的評価(HE染色による腫瘍の形態的評価)、免疫組織学的評価、および遺伝子学的検索 (MGMT promotor methylation、IDH mutasion、1p19q co-deletion、TERT promotorの評価など)も行っている。また、腫瘍幹細胞の性質として、「播種」や「遠隔再発、播種再発」に関わっていることが示唆されているため、初発時播種症例(5例)および播種再発症例(3 例のペア標本6つ)について検討を行っている。具体的には、各症例の術前画像を評価するとともに、摘出標本(再発症例については、再発標本も)について、その遺伝子学的 検索を行うために、RNA sequenceによる評価を施行中である。RNA sequenceにより、初発時播種症例や播種再発病変の評価を行うことにより、腫瘍幹細胞に特徴的なRNA発現をとらえることが可能であると考える。現時点でRNAシークエンスの結果につき検討を進めている状態であり、有用なRNA発現異常を指摘できれば、蓄積標本での評価に進む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象となる目標症例は50例であるが、現在40例について検討可能となっている。それぞれの症例について、予定通り術前画像評価、手術による複数箇所 の標本採取、および病理組織学的検討、遺伝子学的検討も行っている。 膠芽腫における腫瘍幹細胞の評価については、これまでの報告からCD133、TERTなどの分子遺伝学的マーカーが知られており、これらによる評価も行っている。 さらに、膠芽腫の腫瘍幹細胞に特徴的な分子遺伝学的マーカーを模索すべく、腫瘍幹細胞に特徴的な播種や播種再発を来した症例について、その標本を用いた RNA sequenceを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例を蓄積しながら、画像診断、病理学的、および分子遺伝学的所見の検討を継続する予定である。 画像診断については、腫瘍の分布や種々のパラメータについての評価を精確に行うことを目的として、画像診断・解析ソフトなどのツールを導入することも検討 している。 また、RNA sequenceの結果を考慮し、全対象症例について検討を行うことを考えている。
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Causes of Carryover |
研究の進捗に遅れが生じたため、当該年度での物品購入が予定より少なくなったため。
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