2019 Fiscal Year Research-status Report
mRNA医薬による脳梗塞後遺症機能再生-皮質機能局在可塑性の強制発現-
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19K18381
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
福島 雄大 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40837895)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳梗塞 / 神経再生 / mRNA医薬 / リハビリテーション / 反応性アストロサイト / 運動機能代償野 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞による運動機能障害に対する唯一の有効な治療法はリハビリテーションであるが、その有効性は発症後早期に限定され、慢性期における効果は限定的である。このメカニズムを解明し、発症後早期に発現する遺伝子を、mRNA医薬の技術を用いて慢性期に強制発現することで、革新的治療法を開発することが本研究の目的である。 この臨床像を再現する動物モデルとして、前肢エサ掴み行動を習熟させたラットを用いて、血管収縮薬endothelin-1による運動野皮質梗塞を発症させた後、エサ掴み行動による前肢運動機能リハビリテーションを行った。脳梗塞発症翌日からリハビリテーションを行った個体では、その成功確率は発症前の90%程度まで改善した。一方、脳梗塞発症後1か月後にリハビリテーションを開始した個体では、発症前の30%程度の成功確率に留まる結果が得られた。この結果は、脳梗塞による運動機能障害リハビリテーションの臨床像をよく再現する結果であった。 続いて、発症早期リハビリテーション開始個体を用いて、電気生理学的手法により運動機能代償野の同定を行い、当モデルにおける前肢運動機能代償野を同定した。この前肢運動機能代償野を含む脳切片を用いた免疫染色により、アストロサイトが脳梗塞巣へ集簇することが示された。梗塞巣へ集簇したアストロサイトは慢性期においても残存しており、これは他のグリア細胞と比較しても特異的な所見であった。慢性期の機能改善を障害する細胞因子として、発現遺伝子の解析を行うことの妥当性を示すものでると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症に伴う研究室の閉鎖により、予定した研究の進捗にやや遅れが出ている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の結果を踏まえ、脳梗塞慢性期における機能改善を障害する細胞因子としてアストロサイトに着目し、今年度の研究を推進する。 先述の動物モデルの中枢神経組織からアストロサイトを単離した上で、遺伝子発現解析を行う。また、強制発現させる治療遺伝子の選定のための、アストロサイト初代培養系を確立する。
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