2021 Fiscal Year Research-status Report
悪性髄膜腫のCDKN2A遺伝子欠失を標的とした新規治療の開発
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19K18389
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿知波 孝宗 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (00771908)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 悪性髄膜腫 / CDKN2A |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、悪性髄膜腫の分子遺伝学的異常、特にサイクリン依存性キナーゼ阻害2A遺伝子(cyclin-dependent kinase inhibitor 2A: CDKN2A)の欠失をターゲットにした新たな分子標的治療薬の開発を目的とする。 髄膜腫(悪性髄膜腫:WHO gradeII以上を含む)の臨床検体40検体を用いて治療ターゲットを目指すCKD4/6やMDM2の発現量が再発性や組織学的な悪性度と関連しているかを検討するため、CDKN2A遺伝子よりコードされる p16INKaやp14ARF及びその下流のCDK4/6やMDM2の発現量をRT-qPCRにより半定量的に解析した。以前より髄膜腫の再発性について関連性が指摘されているテロメラーゼ逆転写酵素(telomerase reverse transcriptase: TERT)についても同様に解析した。解析結果について現在検討中である。 又、近年CDKN2Aの点変異p.Ala148Thrが髄膜腫の再発性について関連性があることが明らかになり(Anne Guyot et al.)、この点変異についても当院コホートの臨床検体30検体でサンガーシークエンス法によって解析を行った。この点変異の頻度はWHO grade I, IIの再発性髄膜腫で40%程と報告されているが、当院のコホートでは全例で点変異は認めず、コホート間で変異の頻度に差がある可能性が示唆された。症例数を増やして更なる検討が必要である。 CDK4/6阻害薬、MDM2阻害薬の髄膜腫細胞株への効果の検証(in vitro)については実施が遅れている。ヒト由来髄膜腫細胞株であるIOMM-Lee、HKBMM、HBL-52の培養条件については検討済であり、各阻害薬を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
複数のCDK4/6阻害薬が悪性髄膜腫に対して海外研究で細胞実験、臨床試験において検証がされつつあり、新規性のある実験系について検討中である。 また他業務による時間的制約により細胞株を用いた実験が十分行えない状況にある。 新型コロナウイルス感染症の蔓延時期の行動制限も影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
実施が遅れているCDKN2A欠失検索のためのMLPA法での解析に加え、更に症例数を増やしてCDKN2A遺伝子関連のp16INKaやp14ARF及びその下流のCDK4/6やMDM2の発現量解析、CDKN2Aの点変異解析を行っていく。 更に悪性化に関わる遺伝子異常の検出のため、特に再発を繰り返す難治性症例に限定して網羅的な解析についても検討する。髄膜腫細胞株を用いたCDK4/6阻害薬、MDM2阻害薬については新規性のある実験系について検討した上で、髄膜腫細胞株への効果の検証(in vitro, in vivo)を実施していく。
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Causes of Carryover |
現在実施している解析は、大半が既存の消耗品で実施可能であり、必要最小限の試薬の購入のみで実施が可能であったため、経費の使用が少なかった。実施が遅れているMLPA法や網羅的遺伝子解析のためのマイクロアレイなどの試薬で特に多くの経費を使用する予定である。又、今後実施予定である髄膜細胞株を用いた CDK4/6阻害薬、MDM2阻害薬の髄膜腫細胞株への効果の検証(in vitro, in vivo)も細胞培養用培地や阻害薬、免疫不全マウスなどで特に経費を使用する必要がある。
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