2019 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷における頭蓋骨由来間葉系幹細胞を用いた新たな再生医療の開発応用
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19K18392
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
阿美古 将 広島大学, 医系科学研究科(医), 研究員 (50837804)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 間葉系幹細胞 / 頭蓋骨 / 脊髄損傷 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊髄損傷の新規治療として再生医療が注目され、実際に一部臨床応用されている。しかし、臨床試験が進むにつれて運動機能改善の効果に限界があることが分かってきた。われわれはこれまで、ヒト頭蓋骨から間葉系幹細胞を分離・培養し、神経系細胞に分化しやすいことを発見した。また、ラット頭蓋骨から間葉系細胞(Mesenchymal stem cells: MSCs)の分離・培養を行い、ラット頭蓋骨由来MSCsは神経栄養因子を豊富に分泌すること、脳虚血モデルラットに対するラット頭蓋骨由来MSCsの移植が有効な機能改善効果を示すことを見いだした。本研究では、これらの点を踏まえ、ラット脊髄損傷モデルに対して頭蓋骨由来MSCsを用いた再生医療が運動機能改善に与える効果を検討し、その作用機序について明らかにすることを目的としている。また、その成果によりヒト頭蓋骨由来MSCsを用いた脊髄損傷に対する新たな再生医療の開発および臨床応用を目指し、社会のニーズに応えることを目指している。本研究において、①ラット脊髄損傷モデルに対する細胞移植の至適条件の確立、②移植細胞の違いにおける運動機能改善効果の検証、③回復に寄与する遺伝子の探索および運動機能改善との関連性の検証、④細胞移植の違いにおける組織学的改善効果の検証の順に検証をすすめ、データの整理を行う予定としている。ラット頭蓋骨由来MSCsを脊髄損傷モデルラットに移植したところ、良好な機能改善効果が示されている状態である。今後はラット長管骨由来MSCsについても移植効果について検討し、ラット頭蓋骨由来MSCsの有効性について比較検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
仕事環境の変化のため、移植細胞の違いにおける運動機能改善効果の検証に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット頭蓋骨由来MSCsの移植効果について運動機能評価スケール、動物用3次元動作解析装置を用い、運動機能学的に解析する。対照群、ラット長管骨由来MSCs移植群、ラット頭蓋骨由来MSCs移植群から得られる運動学的データを比較し、運動機能改善に与える影響を調べる。以上の検証を行うための、実験時間の確保に努める。
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Causes of Carryover |
ラット実験回数について予定回数に達しなかったため、次年度使用額が生じた。実験時間の確保に努め、令和2年度助成金と合わせ、ラット実験とその検証に使用する。
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