2019 Fiscal Year Research-status Report
神経膠腫におけるMRIテクスチャー解析及び髄液DNAによる術前分子診断の探索
Project/Area Number |
19K18405
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
笹尾 亮太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60837201)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 膠芽腫 / MRIテクスチャー解析 / 髄液DNA / 術前分子診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、画像による術前分子診断、liquid biopsyによる術前分子診断の2つのアプローチによる術前からの神経膠腫の分子診断予測を行い、分子診断に沿った個別化治療を効果的に実行することを目標としたものである。 画像による診断は、神経膠腫におけるMGMTプロモーター領域のメチル化の予測を目的とし、web上フリーで利用可能な画像解析ソフトウェア(Mazda)と市販の画像解析ソフトウェア(SYNAPSE VINCENT, Fuji film corp.)とでそれぞれ解析した。対象として、初発膠芽腫のうち、当院で摘出術が施行され、術前のMRI画像が利用可能なもの48例とした。解析の結果、Mazdaによるテクスチャー解析では diffusion weighted image (DWI) のHorzl_Fraction、135dr_shrtREMpを併用することで陽性的中率90%、感度42.9%で予想可能であり、SYNAPSE VINCENTを用いた解析ではAppearent diffusion coefficiennt(ADC)のmean ADC valueとADC entrophyを併用することで、陽性的中率81.2%、感度61.9%での予測が可能であった。いずれのソフトでも比較的高い陽性的中率と感度で予想可能であった。SYNAPSE VINCENTにおいてDWIが評価可能なデータとして検出されなかったため、DWIを用いた解析と比較は適わなかったが、他のモダリティと比較して、ADC(DWI)が有用であることが示唆された。 liquid biopsyによる髄液circulating cell free DNAを用いた神経膠腫分子診断は、倫理上の問題から腰椎穿刺での採取は難しく、術中に採取することが望ましい状況にあるため、現状では適切な症例が十分に確保できない状態である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、画像解析に関しては一定の成果は出ていると言える。Liquid biopsyに関しては、倫理的な側面から、必ずしも治療に必要のなく、侵襲を加えることになる術前の腰椎穿刺は適応に難しく、検体の採取は水頭症併発例に限られる状態である。そのような症例は疾患の特性上多くなく、またコロナウイルスに伴う手術規制なども相まって、適切な症例の確保に難渋している。
|
Strategy for Future Research Activity |
画像解析に関しては、引き続き解析を行っていき、症例数を増やすことや解析方法の検討等を重ね、精度を向上させていく。また、新規の症例を対象としたproof of concept臨床試験を行う(倫理申請が必要)。膠芽腫が疑われる患者10名を対象として、テクスチャー解析結果に基づく、意図的なBCNU waferの留置(あるいは非留置)を行い、有効性と有害事象を観察する。Liquid biopsyに関しては、適切な症例に対し、検体を採取、解析を行っていく。
|
Causes of Carryover |
Liquid biopsy適応となる手術症例に伴い、解析費用として使用する見込み
|