2020 Fiscal Year Research-status Report
精神機能と運動機能を向上させるための意欲中枢側坐核への脳深部刺激法の開発
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19K18410
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
鈴木 迪諒 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (50826526)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 側坐核 / 運動 / 意欲 / モチベーション / 脳深部刺激 / 鬱 / Neuromodulation / 強化学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には把握行動に依存した側坐核脳深部刺激法を確立した。 2020年度では、この行動に依存した側坐核刺激法を用いて、動物の行動および生体信号へ与える影響を検証することを目的に掲げ、実験を行った。マカクサルに到達把握運動課題を行わせ、サルが発揮する把握力が任意の閾値を超えることを刺激開始のトリガーとした。2頭を実験に使用し、2頭ともに把握行動が刺激のトリガーになることを理解し、頻繁に把握運動を行うようになった。サルが刺激入力に気付くか否かについては、刺激強度に依存しており、少なくとも1mA以上の刺激強度が必要であった(50Hz)。また側坐核刺激を行うとオブジェクトを把握する時間が長くなる傾向があった一方で、把握力そのものが大きくなるか否かについては一貫した傾向が認められなかった。筋活動においては、把握時間の延長に伴い筋活動の持続時間も延長していた。そこで、側坐核刺激そのものが筋活動の延長を生み出しているのかを検証するために、刺激依存性の筋活動を解析した。その結果、側坐核刺激そのものは筋活動生成には貢献していなかった。よって側坐核刺激は皮質脊髄路の活性化には直接寄与していないことがわかった。以上の結果から、サルは側坐核刺激とその誘因となる把握運動の関係性を学習し、より頻回に刺激を受けとるために、試行回数や把握時間を最大化にするように努めていると考えられる。これは、側坐核刺激が行動へのモチベーションの向上や行動の強化学習を促すことを示していると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、健常モデル動物での検証が終了した段階であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は強化学習を生み出す側坐核脳深部刺激が脊髄損傷モデル動物の運動への意欲向上や運動能力そのものを高めるきっかけとなるかを検証する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる学会の開催中止やweb開催が相次ぎ、旅費が大幅に浮いたため。 実験に必要な消耗品などの購入に充てる予定である。
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