2019 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の根治を目指したCAR-T細胞とがん治療用ウイルスの併用療法
Project/Area Number |
19K18416
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 脳腫瘍免疫療法 / CAR-T / がん治療用ウイルス / ポドプラニン |
Outline of Annual Research Achievements |
背景および研究目的: 標準治療では根治が目指せない悪性脳腫瘍に対して免疫療法が期待されているが、既存のCAR-Tの問題点である、正常細胞への傷害性を示すon-target-off-tumor toxicityを克服する必要がある。そのため癌特異抗原を認識するモノクローナル抗体を基としたCAR―T細胞を作成し、その有効性及び安全性をマウスモデルにおいて検証することを本研究の目的とした。また、がん治療用ウイルスなどと併用による相乗効果も期待される。
研究結果: グリオーマ細胞で異常に糖鎖修飾されたポドプラニン(PDPN)をイムノーゲンとして作成された癌特異的モノクローナル抗体Cancer-specific mAb (CasMab)であるLpMab-2を利用したCARを作成した。LpMab-2 はPDPN発現癌細胞のみと反応し正常PDPN発現細胞と反応しない癌特異的モノクローナル抗体(CasMab)である。LpMab-2の単鎖抗体を用いて第3世代のCAR-TであるLp2-CAR-T細胞を作成した。この新たな概念のCAR-T細胞は、PDPN発現グリオーマ細胞株に対して特異的に細胞障害性を示したが、正常PDPN発現細胞に対する細胞傷害性を示さなかった。また、Lp2-CAR-T細胞は日本国内で樹立させた患者由来のグリオーマ幹細胞株に対しても殺細胞効果を示し、臨床応用の可能性を証明した。 グリオーマ細胞株を用いたマウス腫瘍モデルにおいても、Lp2-CAR-T療法の腫瘍増殖抑制効果を示し、Lp2-CAR導入T細胞治療群はCAR非導入T細胞治療群と比べて生存期間が有意に延長した。また、Lp2-CAR-T細胞療法と癌治療用ウイルスG47Δの併用によってさらに高い治療効果が得られた。
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