2020 Fiscal Year Research-status Report
皮質-皮質間誘発電位を用いたてんかん原性領域診断を目指して
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19K18417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 勢二郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (30803639)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | てんかん / 皮質電気刺激 / 診断技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
てんかん外科において『てんかん原性領域(切除により発作が消失する領域)』の術前診断は重要である。現状では画像異常を伴わない焦点性てんかんに対する外科治療の発作消失率は5割以下に留まり、治療成績向上のためにはてんかん原性領域診断技術のbreakthroughが望まれている。そこで我々は皮質-皮質間誘発電位(CCEP)検査に注目し、新しいてんかん原性領域診断法の確立を目指している。我々は独自の先行研究から、てんかん原性領域の重要な性質と考えられる『皮質興奮性』と『不均一性』の指標をCCEP検査から算出しうる可能性を見出している。本研究の目的は診断技術確立に向けて、これらの指標及び既報の指標について、焦点部・非焦点部の統計学的差異を検証し、指標を基準とした焦点部・非焦点部の診断精度を算出するなど、基礎的かつ重要なデータを揃えることである。これらのデータは将来的な予測研究につながる予定である。 初年度に引き続き、本年度もデータ収集と解析を実施する計画であった。症例については新型コロナウイルス感染症の影響もあって、結果的に皮質-皮質間誘発電位の検査を実施することができたのは4例(高密度の電極を留置された症例を3例含む)であった。これで、実施症例が計15例(高密度電極使用例6例)となり、目的を達成するための十分なデータが蓄積されたと考えている。 現在は、個別解析に加えそれらを統合した結果をまとめている段階である。現時点で発表できる結果と機会を得ていないが、次年度で解析結果をまとめ上げ、英文論文発表並びに国内外の学会発表を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画において2年間で4-5例の慢性頭蓋内電極留置例で研究データを取得することを計画していたが、初年度に11例に加え、本年度も4症例で目的とする皮質-皮質間誘発電位の検査を実施することができた。当初の計画以上の症例でデータを取得できたが、その分の解析に要する時間が必要であったこと、また、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、計画の実施においてはやや遅れが見られた(本研究の期間延長を申請し、承認頂いた)。
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Strategy for Future Research Activity |
延長を認めて頂いた期間において研究計画を履行し、個別解析を完遂させるとともに個々のデータを統合し、統計学的検証を行う。得られた結果・知見は、論文発表や学会発表などで広く公表する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響により旅費が生じなかったこと、及び研究の遅れから論文校正費・投稿費などが未使用であることが主な理由として挙げられる。延長年度においてこれらを使用する予定である。また、物品費としてデータ保存のためのNASを購入予定である。
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