2019 Fiscal Year Research-status Report
びまん性内在性橋神経膠腫(DIPG)に対するACVR1変異を標的とした新規治療
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19K18418
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
渡邉 潤 新潟大学, 脳研究所, 非常勤講師 (60792265)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | DIPG / H3K27M / ACVR1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は小児脳腫瘍の10~20%を占めるびまん性内在性橋神経膠腫(diffuse intrinsic pontine glioma: 以下DIPG)を対象としている。当科では貴重なH3.1変異とACVR1変異(G328E)を持つDIPG 細胞株(NGT16)を樹立した。H3K27M 変異をもつ DIPGではH3K27のトリメチル化(H3K27me3)が著明に減少しており、広範なDNAの非メチル化, MGMTのプロモーター領域の非メチル化、MGMT発現を認め、テモダールには抵抗性があることを報告した(Abe, Watanabe et al, 2018. Neurol Med Chir (Tokyo)).ヒストンの遺伝子変異,特にH3.1 K27Mを持つDIPGは activin A receptor type I (ACVR1) 遺伝子変異が併存し、原因遺伝子として注目されている。本研究ではACVR1変異を基盤に持つ、DIPG cell line, xenograft modelを用いて、ALK2阻害薬のDIPGに対する有効性を検証することを目的としている。ACVR1変異を有する症例では、SMADシグナルを制御する ALK2 (activin receptor-like kinase-2) 蛋白が活性化しており、治療標的として考えている。ACVR1 変異を持つDIPG 細胞株(NGT16)では pSMADの上昇を認め、質量分析器を用いたリン酸化プロテオミクスの解析ではTGF-β (BMP)関連のシグナル上昇を認め、ALK2阻害薬を使用するとDIPG細胞株に広範に効果を示した。以上の結果からはALK2阻害薬により、ACVR1変異により活性化した経路を阻害することで細胞増殖が抑制できる可能性があると考え、研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに細胞株での研究結果をまとめ、論文投稿中にある。
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Strategy for Future Research Activity |
ALK2 阻害薬は本研究で使用したK02288 のみならず、LDN193189, LDN214117, LDN212854, ML347と TGF-β (BMP)関連のシグナルに対応して多種存在し、どのALK2阻害薬が望ましいかは今後の検討課題である。また樹立した細胞株を用いてDIPGのXenograft modelを作成し、Xenograft modelに対するALK2阻害薬の投与を行い、生存が延長することを示し、病理学的検討も行う。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していたマウスの購入費が少なく済んだため。 また学会参加費、旅費が不要であった。
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Research Products
(8 results)