2020 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫のアクアポリン1発現意義の解明と機能制御による新規治療への応用
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19K18420
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大石 正博 金沢大学, 附属病院, 特任助教 (50646693)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アクアポリン1 / 悪性神経膠腫 / GBM / 血管新生 / 浸潤 / THSD7A |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は悪性神経膠腫におけるAQP1発現の意義の解明および腫瘍のAQP1発現・機能調節により生じる変化因子の解明を核心となす学術的な問いとし、悪性神経膠腫における血管新生から繋がる増殖および浸潤のメカニズムを解明して、AQP1阻害による新たな治療を追求するものである。 これまでの先行研究においてGBMはグルコース代謝によりAQP1の発現は上昇し、AQP1の発現上昇はGBMの浸潤能・遊走能に関わる可能性があり、さらに血管新生抑制因子であるTHSD7Aを抑制することで、血管新生を促している可能性を見出した。今回の研究ではTHSD7A以外にAQP1発現上昇と相関関係をもって発現量が変化する新たな候補因子を同定することはできなかったが、複数の浸潤・遊走に関わる分子がAQP1発現量依存的に発現亢進していることを証明した。またAQP1はstem cellマーカーとしての発現の可能性があったが、今回の研究中に用いた複数のGBM stem cellにはAQP1の発現は認めなかった。これまでの研究結果を論文としてまとめ、Cancer Med. 2020 Jun;9(11):3904-3917. に発表した。 今後、in vivoの研究を継続する必要がある。これまではAQP1阻害剤としては塩化水銀しか存在せず、治療応用への実現は困難であったが、近年新規のAQP1阻害薬が報告されており、現在研究用として購入可能となった。今後臨床応用への期待が高まっていくと考えられる。
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