2021 Fiscal Year Research-status Report
培養滑膜幹細胞の画像解析および形態から得られる情報と生物学的情報の統合解析
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19K18453
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
水野 満 東京医科歯科大学, 統合研究機構, プロジェクト助教 (00733908)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞形態 / 滑膜幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々がヒト臨床研究で投与している滑膜幹細胞は高い軟骨分化能を有し、膝関節内の他組織と発生学的に近似していることから異所性組織構築も認めず、臨床的に優れた細胞源である(Sekiya et al., Clin Orthop Relat Res. 473(7), 2015, Sekiya et al., Cell transplantation, 28(11):1445-1454, 2019)。本研究の目的は、滑膜幹細胞の培養位相差像における細胞形態情報と、増殖性・分化能・遺伝子発現プロファイルなどの細胞生物学的な解析結果を統合したデータベースを構築し、再生医療技術の実用化における製造の安定性向上を試みることである。 引き続き、様々な条件で細胞画像を取得し、解析を実施している。特に、当該年度では細胞培養時の変化を評価するため、細胞凍結後の細胞障害に着目し、その特性変化を観察・評価した。その結果、細胞凍結による障害と細胞の特性には関連があることが明らかとなった。凍結保護剤の影響により、細胞への障害を引き起こされるが、これは細胞膜の物理学的特性により細胞種ごとに相違が生じていることが示唆された。これらの成果を英語論文として取りまとめ、国際雑誌への投稿を行った。 また、過去の報告では増殖因子や炎症性サイトカインなどにより増殖性を高めることが報告されており、それら条件下では細胞形態が変化することが知られている。それらの相違を評価するため、増殖因子の添加や、培地組成を変更した条件で培養を行いその形態と特性について評価した。その結果、培地組成の変更により増殖性を高めるものの、形態に影響しない条件を見出すことができた。これにより、細胞の機能に介入せず増殖性のみ高めることができる可能性がある。実用化における利点、欠点を整理し、条件の検討を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
様々な観点における細胞形態画像を取得しつつ、技術課題を解決するためのアプローチから関連する細胞特性に関する新しい知見を得ることができたことから、本研究課題を概ね順調に推進することができていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これら細胞画像取得技術を実用化するための検証を行い、複数種の細胞を用いて異なる播種密度における画像取得を行った。これまでに開発してきた滑膜間葉系幹細胞特異的な細胞認識技術はサイズの異なる他種細胞への応用にあたっては工夫が必要であることが明らかとなった。画像取得装置の解像度を上げるとともに、画像認識技術の向上を行うなど技術の改良を行う予定である。また、位相差画像の取得には高価な顕微鏡が必要であったが、安価な光学機器を使用することで簡便な画像取得方法も同時に検証する。画像取得が安価、簡便に実施することが実現されれば実際の現場で広く利用してもらうことが期待される。元来予定していた研究の遂行と新技術の開発を同時に推進する。
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Causes of Carryover |
PCの故障により、使用予定年度より前に執行できるよう前倒し請求を行った。その際に正確な金額が決まっていなかったため、少し余裕をもった前倒し請求をしたことにより、余剰分が生じた。 翌年度の使用予定については、試験計画をやりくりすることで調整し、不足の内容に実施する予定である。
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