2019 Fiscal Year Research-status Report
Changing in material structure of anti-oxidant doped highly cross-linked polyethylene retrieved from in vivo
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19K18462
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
刀根 慎恵 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80763739)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ポリエチレン / 酸化 / 人工関節置換術 / ビタミンE |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、使用するビタミンE添加ポリエチレンを薄切するためのミクロトームを購入した。現時点で人工股関節置換術及び人工膝関節置換術後に生体内から抜去された第2世代架橋型ポリエチレンは股関節ライナー及び膝インサート含めて19例で、抜去時の平均年齢は75.6歳、平均生体内期間27.8ヶ月(3 - 79ヶ月)であった。そのうち、ビタミンE添加架橋型ポリエチレンは 8例(ライナー5例、インサート3例、平均生体内期間15.9ヶ月)であった。ライナーは荷重部とリム部、インサートは内側荷重部に対してそれぞれ厚み200μmのスライス片を作成し、FT-IRを用いて摺動面から嵌合面まで200μm毎に測定し、最大酸化度、平均残留脂質量、平均ビタミンE指数を算出した。結果としては、荷重部における最大酸化度、平均残留脂質量、平均ビタミンE指数はそれぞれ0.060 ± 0.027(0.028~0.094)、1.559 ± 0.52(2.357~0.768)、0.029 ± 0.041(0.101~0.0001)、で、リム部における最大酸化度、平均残留脂質量、平均ビタミンE指数はそれぞれ0.022 ± 0.018(0.024~0.051)、0.630 ± 0.305(0.943~0.304)、0.007 ± 0.008(0.021~0.006)であった。生体内期間が短期の症例が多いものの、抗酸化剤添加架橋型ポリエチレン摘出サンプルの荷重部及びリム部における最大酸化度は非常に低値であり、抗酸化剤は生体内においても優れた抗酸化作用を有していることが分かった。また、ビタミンEの残存を全例で認めたが、サンプルによってばらつきが大きかった。残留脂質量はリム部よりも荷重部で高値であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、使用するビタミンE添加ポリエチレンを薄切するためのミクロトームを購入した。その後、フーリエ変換赤外線分析によるスペクトルの測定を行うために、人工関節置換術後に摘出されたビタミンE添加ポリエチレンを薄切した。薄切部位は予定通りライナーの荷重部とリム部、脛骨インサートの内側荷重部及び非荷重部とした。得られたスペクトルより酸化度、残留脂質量、ビタミンE指数を算出した。順次摘出されるサンプルに関しては引き続き十分に洗浄後、速やかに真空状態で密閉し、0℃以下の環境下で保存した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はラマン分光分析を用いて結晶化度を測定することで、さらに物質構造の変化を計測し、酸化度と結晶化度の関連性も確認する予定である。また、未使用サンプルも購入予定であるため、未使用サンプルと摘出サンプルの比較検討も行う予定である。さらに、示差走査熱量測定を用いて酸化誘導時間(Oxidative-induction time:OIT)を測定することによって、摘出サンプルにおける酸化安定性を検討する予定である。
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