2020 Fiscal Year Research-status Report
Changing in material structure of anti-oxidant doped highly cross-linked polyethylene retrieved from in vivo
Project/Area Number |
19K18462
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
刀根 慎恵 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (80763739)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | ポリエチレン / 酸化 / 人工関節置換術 / 抗酸化剤添加 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工股関節置換術及び人工膝関節置換術後に生体内より抜去された抗酸化剤添加ポリエチレンは計12サンプルで男性4サンプル、女性8サンプル、平均年齢は75.8歳、BMIは23.6kg/m2であった。生体内留置期間は20.8±27.3ヵ月でビタミンE浸漬架橋型ポリエチレンが6サンプル、ビタミンE混合架橋型ポリエチレンが5サンプル、イルガノックス混合ポリエチレンが1サンプルであった。前年度よりも4サンプル追加となり、ライナーは荷重部とリム部、インサートは内側荷重部に対してそれぞれ厚み200μmのスライス片を作成し、FT-IRを用いて摺動面から嵌合面まで200μm毎に測定し、最大酸化度、平均残留脂質量、平均ビタミンE指数を算出した。結果としては、荷重部における最大酸化度、平均残留脂質量、平均ビタミンE指数はそれぞれ0.080 ± 0.085(0.028~0.34)、1.954 ± 1.730(0.601~7.059)、0.039 ± 0.047(0.0001~0.110)で、リム部における最大酸化度、平均残留脂質量、平均ビタミンE指数はそれぞれ0.025 ± 0.018(0.002~0.051)、0.616 ± 0.275(0.304~0.943)、0.053 ± 0.074(0.006~0.164)であった。抜去された抗酸化剤添加ポリエチレンの荷重部及びリム部における最大酸化度は非常に低値であり、抗酸化剤は生体内においても優れた抗酸化作用を有していることが分かった。しかしながら、生体内留置期間が8年3ヵ月のビタミンE浸漬架橋型ポリエチレンに関しては荷重部の最大酸化度が0.342と酸化度の上昇を認めており、留置期間が長くなれば抗酸化剤が添加されていたとしても荷重部の酸化を抑制できない可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に引き続いてフーリエ変換赤外線分析を用いて抗酸化剤添加ポリエチレンのスペクトルを測定し、酸化度、残留脂質量、ビタミンE指数を算出した。現在は各ライナーの荷重部及び各インサートの内側荷重部に対して厚み250μm、直径6mmのスライス片をそれぞれ3片ずつ作成し、示差走査熱量測定器を用いて酸化誘導時間の測定を行っている。ラマン分光分析の測定に関してはCovid-19の拡大に伴って実験施設への訪問が不可能な状態となっており、実験を進めることができない。
|
Strategy for Future Research Activity |
Covid-19の再拡大に伴い、実験施設への訪問が不可能な状態となっており、今後の研究推進は不透明な状態である。酸化誘導時間の解析に関しては現在行っており、次年度中に結果を得ることができると考えられる。さらに抜去したサンプルが獲得できれば追加で実験を行っていく。
|
Causes of Carryover |
理由:Covid-19の拡大に伴い、実験の遅延が生じたため。 仕様計画:次年度に行うラマン分光分析による結晶化度の計測や酸化誘導時間の計測に使用する予定である。
|