2019 Fiscal Year Research-status Report
カーボンナノチューブによる末梢神経再生促進効果の解明と新たな人工神経開発への応用
Project/Area Number |
19K18467
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
兒玉 祥 広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (40806478)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 人工神経管 / カーボンナノチューブ / 末梢神経 / 神経再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、カーボンナノチューブ(CNT)の生体内での神経再生効果を中心に研究した。今年度の補助金は、主に上記研究を遂行するために必要な電気生理学的検査機器の購入に充てられた。 研究①:カーボンナノチューブの生体内での神経再生効果の解明 ラット坐骨神経欠損モデル(欠損15mm)に対し、CNTより作成した撚糸cYarnを充填した内腔1.5mm長さ17mmのシリコンチューブを移植し、シリコンチューブ内に占めるCNT糸の密度により5つの実験群(C0:0%, CN2:2%, CN5:5%, CN10:10%, CN35:35%, N=7)を作成した.術後8週にて神経再生効果を電気生理学、組織学的に評価したところ、筋電図ではCN2群の5匹,CN5群の6匹,CN10群の3匹で電位が観察されたが,C0,CN35群では電位を認めなかった.筋湿重量はCN2,5群でC0群と比較して有意に増加していた.H-E染色による組織学的評価ではC0群では有意な組織形成を認めず,CN2,5,10群では欠損部が再生組織によって架橋されていた.またNeurofilament染色では軸索がcYarnに沿って伸長し, Neurofilamentの単位面積当たりの密度の末梢/中枢比を算出したところ,C0:0%, CN2:61.8±11.3%, CN5:87.7±18.1%, CN10:47.2±14.7%, CN35:0%であり,5%群で最も高率に軸索再生されていた .以上の結果よりCNTが足場として末梢神経の再生を効率的に促すことが分かった。 本研究の成果は国内および国際学会にて学会発表報告した。 研究②カーボンナノチューブを用いた導管状人工神経の神経再生効果 上述のcYarnを編み込み内腔1.5㎜の人工神経管を作成、既存の人工神経管、自家神経移植とその神経再生効果を比較する。現在予備研究段階であり,今後結果を発表していく予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究①においてはおおむね仮説に沿った研究結果が得られた。研究②においては現在組成の異なる数種類の導管状人工神経を作成しその神経再生効果を検討している。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究①においては、CNTに末梢神経を再生する一定の効果があることが証明された。本研究結果を持って、学術論文作成中である。 現在研究②を中心に遂行し、CNTを用いた導管状人工神経の組成とその神経再生効果について検討引き続き進める予定である。
|
Causes of Carryover |
適正な執行を行い,次年度使用額として端数が生じた。次年度予算と合わせ,消耗品に充てていく予定である
|