2022 Fiscal Year Research-status Report
びまん性特発性骨増殖症の予後及びその危険因子の解明:住民コホートの追跡
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19K18475
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
籠谷 良平 和歌山県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (00597081)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | びまん性特発性骨増殖症 / 危険因子 / 疫学 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic skeletal hyperostosis: DISH)は椎体前面にある前縦靱帯の骨化が連続して起こることにより脊椎の可動性が低下する病態であり、脊椎骨折を引き起こすと高率に脊髄損傷を引き起こし受傷者の生活の質を著しく低下させる。しかしながら、脊椎の靱帯骨化症は特定疾患にも指定されている後縦靱帯骨化症(Ossification of posterior longitudinal ligament: OPLL)や黄色靱帯骨化症(Ossification of yellow ligament: OYL)に注目が集まっており、前縦靱帯の骨化にはさほど注意が払われてこなかった。そのためDISHの疫学研究はきわめて乏しい。しかし、高率に脊髄麻痺を引き起こすDISHの疫学的実態を把握しVFやOPとの関連を解明することは、DISH有病者の予後改善のみならず、高齢者のQOL維持の観点からみても極めて重要である。DISHの実態を把握するには一般住民を対象とした調査を行う必要がある。この困難さからDISHの疫学研究は世界的に見ても極めて少ない。本研究では1690人という大規模の一般住民コホートにおいてベースライン調査のX線読影に引き続き、DISHと診断した全対象者に対し13年後の追跡調査を行う。これにより、DISHの有病率や疫学的実態のみならず、DISHの予後(椎体骨折や骨粗鬆症の発生との関連、運動機能、ADL、QOL、要介護移行の有無、生命予後)、DISHによる骨折者の予後(骨折の治癒、ADL、QOL、要介護移行の有無、生命予後)が明らかになる。本研究結果は、整形外科領域におけるDISHの病的意義を明らかにし、高齢者のQOL維持増進に寄与できるものと確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス蔓延のため学会発表やカンファレンス等が以前より参加しずらい状況になたため
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は13年目に当たる和歌山県での疫学調査を予定している。その後読影を行い、DISH有病者における新たなVF発生の有無を同定する。さらにDISH有病者における新たなOP発生の有無を同定する。 ベースライン調査時の運動機能調査結果との追跡調査のデータリンケージにより、DISH有病者の運動機能の低下の有無を解析する。DISH有病者、DISHと椎体骨折、骨粗鬆症合併者それぞれの予後を明らかにする ベースライン調査時の生活習慣、身体・運動機能、ADL、QOL、神経学的診察項目結果のデータリンケージを行い、⑧とあわせて、DISHとDISHによる骨折や骨粗鬆症の予後影響因子を明らかにする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延に伴い研究の進行が遅れたため
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