2019 Fiscal Year Research-status Report
前・初期変形性股関節症患者の疼痛発現メカニズムおよびその制御機構の解明
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19K18476
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
福島 健介 北里大学, 医学部, 助教 (30383615)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変形性股関節症 / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
前股関節症、初期変形性股関節症および進行期・末期変形性関節症(OA)患者のより採取した滑膜組織を用いて、炎症サイトカインによる疼痛発生機序を検討した。関節鏡視下手術、人工股関節全置換術を施行したOA患者から滑膜組織および滑膜細胞を採取した。滑膜細胞を炎症性サイトカインで刺激し、炎症性サイトカインにより誘導される疼痛因子を検討した。また、TNF-aによって誘導された因子の滑膜組織における発現と疼痛スコア(安静時、動作時)、中枢性感作指標(CSI)との関連性を検討した。TNF-a刺激により滑膜細胞における神経ペプチド(CGRP, Substance P)、神経成長因子(NGF)の発現が上昇した。末期OA患者滑膜組織におけるNGFの発現とCSI scoreの間に正の相関関係を認めた( ρ=0.342, P<0.036)。一方、COX-2、CGRP, Substance Pとの間に相関関係は認められなかった。末期変形性股関節症患者の滑膜組織におけるNGFの発現はCSI scoreと相関したが、COX-2の発現はCSI scoreと相関しなかった。前股関節症、初期変形性股関節より採取した滑膜組織におけるCOX-2, NGFの発現とVAS, CSI scoreとの間に相関は認められなかった。NSAIDsはCOX-2により誘導される侵害受容性疼痛に有用であることが知られている。一方で、抗NGF抗体はNSAIDs抵抗性のOA疼痛に対しても有用である可能性が示されている。このことから末期変形性股関節症患者の滑膜組織におけるNGFはCSを介したCOX-2とは異なる経路でOA疼痛に関与しているかもしれない。前股関節症、初期変形性股関節における疼痛メカニズムについてはさらなる検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疼痛と関連する因子を複数同定しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前股関節症、初期変形性股関節症における疼痛のバイオマーカーの探索を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度の検体処理数が当初の予定より1例少なかったため使用額に差が生じた。次年度使用する予定である。
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