2020 Fiscal Year Research-status Report
前・初期変形性股関節症患者の疼痛発現メカニズムおよびその制御機構の解明
Project/Area Number |
19K18476
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
福島 健介 北里大学, 医学部, 助教 (30383615)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 神経成長因子 / マクロファージ / 線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度の研究で末期変形性股関節症(OA)患者滑膜組織における神経成長因子(NGF)の発現と中枢感作関連スコア(CSI score)の間に正の相関関係が認められた。そこで、本年度は末期OA患者の滑膜組織におけるNGF発現細胞集団を同定すべく検討を行った。人工関節置換術時に末期OA患者の滑膜組織を採取後、コラゲナーゼ処理を行い、有核細胞を採取した。ビオチン標識抗CD14抗体とストレプトアビジン標識磁気ビーズを用いてCD14陽性(マクロファージ)分画とCD14陰性(線維芽細胞)分画に分離した。両分画におけるNGFの発現レベルをリアルタイムPCRを用いて検討した結果、CD14陰性分画におけるNGFの発現はCD14陽性分画に比べて有意に高かった(P=0.012)。一方、フローサイトメトリーによる解析の結果、CD14陽性分画はheterogenousな細胞集団より構成されていた。NGFを発現するCD14陽性細胞集団を同定するために、CD14強陽性細胞とCD14弱陽性細胞をセルソーターを用いて分離した。リアルタイムPCRを用いてNGFの発現を検討した結果、CD14強陽性細胞におけるNGFの発現はCD14弱陽性細胞に比して有意に高かった(P=0.008)。このことから、末期OAの滑膜組織における線維芽細胞およびCD14強陽性細胞が産生するNGFが末期OAの中枢感作、疼痛に関与している可能性が示唆された。これらの細胞は疼痛治療標的として有用かもしれない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度までに変形性股関節症患者の滑膜組織におけるNGFの中枢感作、疼痛への関与とその発現細胞を同定しており、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
NGFを発現するマクロファージサブセットの更なる解析を行う。
|