2023 Fiscal Year Annual Research Report
新生児ラット脳幹脊髄標本を用いたマルチモーダル鎮痛の神経機構の解明
Project/Area Number |
19K18478
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
津澤 佳代 昭和大学, 医学部, 兼任講師 (70796367)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アセトアミノフェン / カンナビノイド受容体 / 新生児ラット |
Outline of Annual Research Achievements |
アセトアミノフェンの鎮痛効果において、脊髄カンナビノイド受容体の役割に注目して研究を進めた。ラット脊髄の摘出標本(in vitro)を用いて、脊髄背側神経根を刺激した際に得られる腹側神経根の反射電位の大きさを侵害受容反応として評価した。 アセトアミノフェンは肝臓や脳・脊髄で代謝され、アナンダミドトランスポーター阻害剤AM404として鎮痛効果を発揮することが知られている。AM404の鎮痛効果に関しては、バニロイド(TRPV1)受容体との関連が示唆されているが、その長期的な持続効果に関しては解明されておらず、カンナビノイド受容体との関連について調査した。 カンナビノイド受容体アンタゴニストAM251は、反射電位の増強を引き起こし、この増強はwashout後も1時間以上持続した。しかし、AM404単独投与では、反射電位の一時的減衰は見られたが、その後顕著な変化は認められなかった。さらにカンナビノイド受容体アゴニストであるノラジンエーテル、あるいはWIN55 212-2を投与した際の反射電位にも有意な変化は認められなかった。また、刺激頻度を60秒毎から10秒毎に増やした場合においては、AM251 投与した際、反射電位が増強する傾向にあることが予想されたが、詳しく検討したところ、刺激頻度に対する依存性は明確には確認されなかった。 以上の結果より、内因性カンナビノイドが抑制的に働いており、カンナビノイド受容体アンタゴニストであるAM251はその抑制効果を減弱させている可能性がある。AM404の鎮痛効果に関してはバニロイド(TRPV1)受容体だけでなく、カンナビノイド受容体も脊髄背側神経根を刺激した際に引き起こされる侵害受容反応の減弱に関与している可能性が示唆された。
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