2021 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞より分化誘導した知覚神経前駆細胞を用いた慢性疼痛の病態解明
Project/Area Number |
19K18479
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
古井 豊士 藤田医科大学, 医学部, 助教 (30770705)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 疼痛 / 幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、2A配列とレポーター遺伝子Venusを下流に結合させたNeurog2遺伝子カセットをノックインしたマウスES細胞を作成した。また、このノックインES細胞を用いて胚様体を作成して神経分化を誘導したところ、qPCRによりNeurog2およびVenusの発現変動を認めた。その発現変動の様式は両遺伝子とも、胚様体形成から8日目頃から亢進し、10日目に最も高くなり、その後は急速に減少しており、intactなES細胞の場合と同様の様式を示していた。ただし、Venusの明瞭な蛍光を認めていなかったため、今年度では抗Venus抗体による免疫染色を行った。その結果、抗Venus抗体によって染色される細胞群を確認した。したがってレポーター遺伝子Venusのタンパク質の産生が行われていることを確認した。Venus遺伝子は2A配列を介してNeurog2の下流に位置していることから、Neurog2遺伝子発現と同期していると考えられる。そこで、続いてセルソーティングによってVenus陽性細胞を分離できるかどうかを行ったところ、Venus陽性細胞とVenus陰性細胞の2つの細胞集団を認めることが出来た。これらのことから、Neurog2の発現を蛍光タンパクVenusによって可視化したES細胞が作成できたと判断した。 ES細胞から知覚神経細胞を分化誘導するための培養系に関して、昨年度までにレチノイン酸により後方化が起こることを確認した。つづいて、いくつかの細胞増殖因子を添加したところ、知覚神経細胞のマーカーであるBrn3a陽性の細胞を免疫染色により認めたため、知覚神経細胞が分化誘導されていると考えられる。 以上のことから、作成したNeurog2-2A-VenusノックインES細胞を使い、知覚神経細胞のさらなる分化誘導系の確立と、知覚神経細胞を大量に培養することが可能な技術の確立を目指す。
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