2019 Fiscal Year Research-status Report
腰部脊柱管狭窄症における肥厚した黄色靭帯の組織構造を画像化する新規診断装置の開発
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19K18485
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
矢部 裕 東北大学, 医学系研究科, 講師 (00803016)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腰部脊柱管狭窄症 / 黄色靭帯 / 超音波顕微鏡 / 光音響顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰部脊柱管狭窄症の黄色靭帯肥厚に関わる因子の画像化のための準備を行った。2019年度は主にサンプルの収集ととともに、超音波顕微鏡を使用し黄色靭帯組織の弾性の評価を行った。超音波顕微鏡の設定ののち黄色靭帯組織の音速を計測し、パラフィン包埋した黄色靭帯組織から作成した切片と比較を行い、弾性に関わる因子の検討を行った。結果、当初の予想と異なり組織での弾性線維の減少と音速の変化(組織の硬化)に相関はみられなかった。組織の硬さには弾性線維に置き換わる他の細胞外基質の物性とともに、弾性線維を含めた組織の密度が関与している可能性が考えられた。引き続きデータの収集を行い超音波顕微鏡で測定される音速(組織の硬化)に影響を与える組織の変化を検討する。また次年度光音響顕微鏡で画像化を試みる因子の候補を選択するため、黄色靭帯肥厚に関わる因子の検討を行う。2019年度はサンプルを収集し遺伝子解析のためのRNAの抽出、組織評価のための組織作成を行った。またタンパクを抽出し網羅的なタンパク解析を行った。黄色靭帯の肥厚は主に背側で生じていることから、靭帯を腹側と背側に分けてタンパクを抽出した。全体で約2500のタンパクが抽出され、特徴としてはバイグリカン、デコリンなどのプロテオグリカンが多くみられた。腹側と背側の比較では様々なタンパクが背側で増えており、今後遺伝子解析や組織評価と合わせて黄色靭帯肥厚に関わる因子を特定し、光音響顕微鏡で画像化を試みる因子の選択を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予想と異なり、黄色靭帯組織における弾性線維の減少部位と超音波顕微鏡で測定した音速(組織の硬化)に相関がみられなかった。組織が硬化した部位に発現している因子を同定し次年度の研究につなげる予定であったが、音速の変化に影響を与える要因につき検討が必要となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きデータの収集を行い、超音波顕微鏡で測定される音速(組織の硬化)に影響を与える要因、因子につき検討を行う。同時に網羅的なタンパク解析の他、遺伝子解析を行い組織に影響を与えうる因子の候補を選択し、光音響顕微鏡を使用した三次元的な画像化を試みる。
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Causes of Carryover |
2019年度はサンプル収集に時間を要したため、実支出額が所要額を下回った。2020年度は超音波顕微鏡と光音響顕微鏡の実験を並行して進める予定である。
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