2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト脊柱靭帯骨化組織および遺伝性骨軟骨異常マウスを用いた疾患関連遺伝子発現解析
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19K18494
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
渡邉 修司 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (00596679)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 靭帯骨化症 / ttw マウス / 疾患関連候補遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究として、昨年度と同様の実験を行い、その結果の報告を各方面にて行った。実験内容として、主に手術時に採取したヒト後縦靭帯骨化(OPLL)・黄色靱帯骨化(OYL)標本およびttwマウス頚椎を用いた免疫染色をおこなった。ヒト脊柱靱帯骨化組織については、OPLLもしくはOYL患者の黄色靭帯を用いて正常黄色靭帯組織との発現比較を行うとともに、ttwマウス頚椎を経時的に免疫染色にて評価した。評価対象としてSTK38L,RSPO2,HAO1,CCDC91,RSPH9などの疾患関連候補遺伝子やRunx2、Sox9などの骨化関連転写因子、幹細胞マーカーなどを免疫染色を用いてその局在などを評価した。 またOPLLおよびOYL患者の靭帯培養細胞を用いて、免疫染色やWestern blottingを用いて定量的評価を行った。各細胞に24時間mechanical stressをかけ、stressなしの細胞との比較も行った。 ヒト靭帯骨化標本では、線維軟骨細胞層においてRSPO2の発現が顕著にみられ、その他の遺伝子の発現は非特異的なものであった。またRSPO2の発現がみられる部位ではSox9、CD90陽性細胞の発現がみられ、Runx2陽性細胞はみられなかった。この結果から、RSPO2が発現する部位では骨芽細胞の分化が促進しているという結果が得られた。骨化初期の評価を行うためにttwマウスを用いたが、主に若年の3~6週齢のマウス頚椎の後縦靭帯付着部においてHAO1、RSPO2が発現する標本がみられたが、それら2つが同一標本で陽性となることはなく、RSPO2よりもHAO1がより早期に発現している結果であった。これにより疾患関連候補遺伝子が骨化初期の軟骨細胞分化に主に関与する可能性が示唆された。 これらの結果を国内外の脊椎関連学会にて報告を行い、英文論文への投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定よりも早く、実験結果の統合が可能であったため、学会報告とともに英文論文投稿を行った。 国内学会として、第49回日本脊椎脊髄病学会、第35回日本整形外科学会基礎学術集会において発表を行った。国際学会として、第48回のCSRS annual meetingにて発表を行い、2nd Place Basic Science Research Awardを受賞した。 英文論文として雑誌SPINEに投稿しacceptされた(Nakajima H, Watanabe S, et al. Expression Analysis of Susceptibility Genes for Ossification of the Posterior Longitudinal Ligament of the Cervical Spine in Human OPLL-related Tissues and a Spinal Hyperostotic Mouse (ttw/ttw). Spine, 2020)。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定されていた研究内容についてはほぼ終了したため、今後はさらなる追加実験として、ヒト黄色靭帯培養細胞を用いた研究を現在開始している。現在の内容としては培養細胞より分泌されるエクソソームの解析である。エクソソームは大部分の真核細胞において、エンドソーム区画で形成される膜結合性の細胞外小胞であり、種々の蛋白や遺伝子を含み、細胞間伝達の役割を果たすことわかっている。近年培養細胞を用いたエクソソーム解析の報告が多数みられる。脊椎関連の研究の報告も数編あるが、靭帯骨化症のエクソソーム解析については報告はまだみられておらず、現在のpreliminaryの実験において有用な結果が得られれば、今後さらなる解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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Research Products
(4 results)