2019 Fiscal Year Annual Research Report
進行性骨化線維異形成症に対する新規薬物治療の開発 -Drug Xに注目して-
Project/Area Number |
19K18497
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
草野 大樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (00837578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 異所性骨化症 / 進行性骨化性線維異形成症 / PDGFRアルファ陽性細胞 / BMP2-Smad1/5/8シグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
異所性骨化症の一つで、遺伝子異常による疾患である進行性骨化性線維異形成症(FOP)の治療薬を探索するため本研究を行った。 まずは、異所性骨化症のoriginと考えられているPDGFRアルファ陽性細胞を使用し、異所性骨化症を抑制する薬剤として、Drug screeningでFDA認可薬であるデスロラタジンを抽出した。WST-8による毒性試験、ALP活性、Alizarin染色による濃度依存試験を行い、デスロラタジンは毒性なく濃度依存性にPDGFRアルファ陽性細胞の骨分化を抑制した。デスロラタジンは第2世代抗ヒスタミン剤であるが、Western blotting法の結果、骨分化抑制のメカニズムは抗ヒスタミン作用ではなく、BMP2-Smad1/5/8の抑制があることが分かった。 次に異所性骨化モデルは、有効性・信頼性とも知られているマウスのアキレス腱切離モデルを用いた。術後10週でマイクロCTを撮影しデスロラタジン投与の効果を検討した結果、デスロラタジンはin vivoでも異所性骨化を抑制することを示した。 以上の結果をまとめ、論文投稿を行った(Kusano T, Nakatani M, Ishiguro N, Ohno K, Yamamoto N, Morita M, Yamada H, Uezumi A, Tsuchida K. Desloratadine inhibits heterotopic ossification by suppression of BMP2-Smad1/5/8 signaling. J Orthop Res, 2020 Feb 11. doi: 10.1002/jor.24625)。 進行性骨化性線維異形成症(FOP)患者のiPS細胞の研究やFOPマウスモデルにおいてBMP2-Smad1/5/8シグナルの活性上昇があるといった報告があり、BMP2-Smad1/5/8の抑制をしたデスロラタジンはFOP治療薬の可能性があり、今後さらなる研究が必要である。
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