2020 Fiscal Year Annual Research Report
化膿性関節炎の早期診断を目的とした関節液中プレセプシンの解析
Project/Area Number |
19K18500
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
今釜 崇 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (00634734)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 関節液中プレセプシン / 化膿性関節炎 / 結晶性関節炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
化膿性関節炎は早期に治療を開始しなければ、不可逆的な関節破壊を来し機能障害を残すため緊急性のある疾患の1つである。しかし同様に関節内に炎症を来す結晶性関節炎との鑑別は臨床上難渋することも多く問題である。そこで本研究において化膿性関節炎と結晶性関節炎の鑑別を目的に、感染のバイオマーカーと仮定する関節液中プレセプシン、血中プレセプシン値を比較検討した。また既存のバイオマーカーとして血中プロカルシトニンとC-reactive protein(CRP)も同時に比較を行った。 化膿性関節炎21関節、結晶性関節炎54関節を対象とし検討した結果、関節液中プレセプシンと血中プレセプシン値において化膿性関節炎で有意に高値であった。一方で血中プロカルシトニンと血中CRPは有意差を認めなかった。それぞれのreceiver operating characteristic curveでの検討では、関節液中プレセプシン、血中プレセプシン、血中CRP、血中プロカルシトニンの順にarea under the curve0.93、0.69、0.65、0.57、感度85.7%、71.4%、68.2%、66.7%、特異度85.2%、80.4%、77.1%、48.9%であった。 これらの結果から、関節液中プレセプシンは最も感度、特異度が高いという結果であった。プレセプシンは細菌が単球等に貪食される際に産生されるタンパク質のため特異度が高いことが予想されたが、今回の結果から関節液中プレセプシン値は化膿性関節炎を鑑別する新規バイオマーカーになり得ると思われた。またプレセプシンの測定は、30分程度で可能であるため実臨床においても早期診断が可能で、早期治療を可能とする有用な検査と考える。
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