2020 Fiscal Year Research-status Report
軟骨細胞シート分泌エクソソーム内包miRNAの軟骨修復メカニズムへの関与の解明
Project/Area Number |
19K18509
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
前原 美樹 東海大学, 医学部, 特定研究員 (40794102)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | エクソソーム / 軟骨再生 / 細胞シート / 再生医療 / miRNA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多指症由来同種軟骨細胞シート(PDシート)の品質マーカーの確立や、治療効果の本質の解明を目指し、PDシートの軟骨修復メカニズムに関与するエクソソーム内包miRNAの機能の解明を目的としている。 昨年度までは、これまでに同定されたPDシートの有効性との相関が推定されるエクソソーム内包miRNAが、軟骨基質分解や血管新生などのPathwayにアノテーションされる遺伝子を標的とし、軟骨修復に関与する可能性があることを報告した。今年度はこの中でも特にPDシートの有効性と高い相関を示す3 miRNAに注目し、さらに詳細に標的遺伝子の探索を行った。 4種類の公的データベース(Target scan, Micro-T CDS, miRDB, miRmap)を活用し、標的遺伝子探索を実施し、3種類以上のデータベースに共通して検出される遺伝子を絞り込んだ。その結果、これらのmiRNAはそれぞれ25、34、29個の遺伝子を抑制する可能性が示された。標的と予想される遺伝子の中には、関節内の炎症や軟骨変性の誘導に関与する遺伝子に関与する遺伝子が散見された。以上の結果から、今回抽出された3種類のmiRNAは、関節内の軟骨細胞、滑膜細胞、免疫細胞等に作用することが予想され、炎症の抑制などによる関節内環境の改善や軟骨修復に寄与する可能性が示唆された。これらのmiRNAに関し、現在、特許申請に向けた準備を進めている。 尚、産前産後休暇および育児休暇取得のため、2019年9月~2020年8月の期間研究を中断した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年9月~2020年8月の期間、産前産後休暇および育児休暇取得に伴い研究を中断したため、スケジュールに遅れが生じている。また、候補miRNAの標的遺伝子に対する機能を評価可能な実験系の確立(標的細胞の選定や、miRNA mimicのトランスフェクション条件の検討等)に計画以上の時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
候補miRNAの標的mRNAを特定するために、Ribonucleoprotein Immunoprecipitation Assay(RIP-Assay)を用いてmiRNA-mRNAペアリングを確認する実験を試みる予定である。これまでに実施したin silicoでのターゲット探索と比較して、生化学的データに基づきmiRNA-mRNAのペアリング解析が可能であることから、標的予測報告のない遺伝子の同定の可能性にも期待している。また、標的遺伝子に対する機能解析を実施し、miRNAの機能を明らかにする。実際に軟骨細胞等において、miRNAを高発現させた際の標的遺伝子や軟骨変性や炎症の誘導に関与する遺伝子に対する機能を確認する手法を試みる。 更に本研究により同定されたmiRNAについて、特許申請に向けた準備についても引き続き進める。
|
Causes of Carryover |
産前産後休暇、育児休暇による研究中断により、スケジュールに遅れが生じたことや、当初予定していた学会発表等に係る出張がなくなったため、物品費及び旅費として計上した経費に関して繰越金が生じた。 次年度は、miRNAトランスフェクションによる標的遺伝子への機能解析実験を行うための試薬やmiRNA mimicなどの購入のために研究費を使用する。また、エクソソーム内包miRNAのターゲット遺伝子を特定するためのRIP-Assayを実施するにあたり、マイクロアレイやRNA-seq等の解析を外注で実施予定であるため、ここに研究費を充当する予定である。
|