2021 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨細胞シート分泌エクソソーム内包miRNAの軟骨修復メカニズムへの関与の解明
Project/Area Number |
19K18509
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
前原 美樹 東海大学, 医学部, 特定研究員 (40794102)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エクソソーム / miRNA / 再生医療 / 関節治療 / 細胞シート / 軟骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、多指症由来同種軟骨細胞シート(PDシート)の有効性に関与するエクソソーム内包miRNAを特定し、これらの標的遺伝子に対する抑制機能や軟骨修復機構への関与を明らかにすることを目的としている。昨年度までは、これまでに同定されたPDシートの有効性との相関が推定される複数のmiRNAのうち、有効性との相関が特に高い3種のmiRNAに注目し、in silico解析による標的遺伝子の探索を行い、これらのmiRNAが関節内環境の改善や軟骨修復に寄与する可能性を明らかにした。 今年度は、この3種のmiRNAについて、標的細胞内での軟骨異化および炎症関連遺伝子に対する機能を調査した。細胞シート放出Exosomeの標的細胞となることが想定される軟骨細胞および滑膜細胞セルラインに対し、当該miRNAを単独もしくは混合してTransfectionし、その後IL-1bを添加し、導入miRNAによる軟骨異化および炎症関連遺伝子の発現抑制効果を確認した。3種のmiRNAはそれぞれ、軟骨異化および炎症関連遺伝子の発現抑制に寄与した。また、3種のmiRNAの組み合わせることにより、特定の遺伝子に対するサイレンシング効果が、miRNA単独の作用と比べて増強されることも示された。 本研究より、軟骨修復に関与する可能性のあるmiRNAを複数種抽出し、特に有力な3miRNAを特定した。また一連の研究から、今回特定された3種のmiRNAは、軟骨、滑膜、免疫細胞等に作用し、炎症の抑制などによる関節内環境の改善や、軟骨異化遺伝子の発現抑制による軟骨修復への寄与の可能性が示唆された。 これらの3miRNAに関し、申請者らは特許を出願した(『関節疾患の治療及び/又は予防のための剤及び医薬組成物』特願2022-017120)。また、国内外の学術集会にて成果を発表した。
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