2019 Fiscal Year Research-status Report
マクロファージが産生するEmilin2の骨代謝における機能解明と臨床応用の可能性
Project/Area Number |
19K18514
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小原 幸弘 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (50792214)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 骨代謝 / マクロファージ / Emilin2 / 骨形成 / 骨吸収 / モノカイン / 破骨細胞 / 骨芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
破骨細胞は単球・マクロファージ系細胞から分化することが知られており、マクロファージの骨代謝における役割は破骨細胞の前駆細胞としての機能が最も着目されている。しかしながら、近年、マクロファージが骨形成を促進することが示唆されている。そのメカニズムについて詳細は不明である。我々は、その骨形成誘導機構を解明する過程でマクロファージの培養上清から、骨髄間質細胞の走化性分子としてEmilin2を同定することに成功した。さらにレトロウイルスベクターを用いて、マウス新生仔頭蓋冠由来骨芽細胞にEmilin2遺伝子を強発現させると、Runx2やOsteocalcinといった骨芽細胞分化マーカー遺伝子の発現上昇が認められ、石灰化が亢進したことから、Emilin2は骨芽細胞の分化を促進することが示唆された。また、マクロファージにIL-4を添加するとEmilin2 mRNA発現が上昇した。すなわち、組織修復型マクロファージでEmilin2発現が高いことが示唆された。マウス大腿骨皮質骨にドリルで骨孔を形成したモデルでは、欠損部位周辺組織でのEmilin2 mRNA発現が一過性に増加しており、骨折の治癒過程を制御している可能性が示唆された。我々は骨粗鬆症に対する創薬シーズの探索を行っており、その過程で同定した新規の骨代謝制御因子がマクロファージのEmilin2発現を増加することを確認したことから、この骨代謝制御因子とEmilin2との関連性について検索する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、国立長寿医療研究センターで作製したEmilin2 KOマウスの骨組織解析を行う予定であったが、研究代表者が国立長寿医療研究センターから愛媛大学へ異動したことにより困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新規に同定した骨代謝制御因子によるEmilin2発現制御の解析を行う。また、卵巣摘出による閉経後骨粗鬆症モデルマウスや骨欠損モデルマウスを用いて、Emilin2の骨代謝疾患との関連性を検索する。
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Causes of Carryover |
研究代表者の所属変更により、動物実験に用いる予定であった物品の購入を見合わせた。次年度には、動物実験に使用する多くの試薬や物品を購入する必要性があり、研究費を繰り越す。
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