2021 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージが産生するEmilin2の骨代謝における機能解明と臨床応用の可能性
Project/Area Number |
19K18514
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
小原 幸弘 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (50792214)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マクロファージ / 骨芽細胞 / 骨リモデリング / 骨折治癒 / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージは細菌などの異物を貪食することで生体防御機構を担う重要な免疫細胞である。近年、この細胞は免疫細胞としての機能だけでなく、生理的条件下で骨芽細胞による骨形成を間接あるいは直接制御することで骨代謝の制御機構を担うことが示唆されているがその分子機構については不明である。この骨芽細胞機能支持機構は骨折治癒過程においても重要である。臨床現場では5-10%程度の癒合遅延、癒合不全が認められることから、骨折治癒の分子機構を解明することは重要である。そこで、マクロファージによる骨折治癒機構を解明するため、B6Jマウスに骨孔形成術を施したのちに、クロドロネートリポソームを投与し、マクロファージを除去した。マクロファージを除去したマウスでは、マイクロCT解析では、新生骨部のBV/TVが有意に低下した。CD31、エンドムチンに対する免疫染色では、骨形成とカップリングするH型血管の新生が低下していることがわかった。そこで、RNA-seq解析を行い、マクロファージが分泌する血管新生あるいは創傷治癒制御因子を絞っていくため、GOエンリッチメント解析を行い、”KW-0964: Secreted” “GO:0001525: angiogenesis” および “GO:0042060: wound healing”とタームでターゲットを絞り、Plau、Tgfb1、Tgfbi遺伝子に着目した。これら因子のインヒビターの投与は骨折治癒過程が遅延されたことから、これら因子がマクロファージから分泌され、骨折治癒を制御している可能性が示唆された。RNA-seq解析では、マクロファージを除去したマウスではEmilin2の有意な低下が認められていることから、Emilin2についても骨折治癒を制御している可能性が示唆された。
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