2020 Fiscal Year Research-status Report
脊髄電気刺激併用運動療法が損傷脊髄の機能回復を促進する分子生物学的メカニズム
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19K18515
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Research Institution | Japan Organization of Occupational Health and Safety, Spinal Injuries Center |
Principal Investigator |
小早川 和 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 独立行政法人労働者健康安全機構総合せき損センター(研究部), 研究員(移行) (40772322)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脊髄損傷 / リハビリテーション / 脊髄電気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
損傷脊髄の機能回復に関わる因子を網羅的に解析するため、以前我々は脊髄損傷後にトレッドミルで歩行訓練を行い、歩行訓練17日目の腰髄のRNA-Seqを行った。その結果、トレーニング群の腰髄では、非トレーニング群に比べて36種類ものシナプス関連遺伝子の発現が増加しており、その中でも興奮性シナプスの発生・新規構築に重要な ポストシナプス蛋白のNGL-2陽性のシナプスが増加している事が明らかになった。今回はこのトレーニングに脊髄電気刺激を併用した効果を調査するため、脊髄半切4日後から腰髄電気刺激療法のみ行う群、腰髄電気刺激と歩行トレーニングを併用する群を作成し、腰髄電気刺激療法の遺伝子発現に与える効果と、トレーニングを併用した際に得られる効果をRNA-Seqを用いて解析した。有意な変化が見られた遺伝子のGO term解析、クラスタリング、 pathway解析を行い、この脊髄損傷後の硬膜外脊髄電気刺激によって生じた遺伝子発現変化の病態上の意義を探索した。脊髄半切後一回のみ腰髄電気刺激を行う群では、positive regulation of neuron differentiation, positive regulation of neurogenesis等のGO-termに含まれる遺伝子等78の遺伝子発現が刺激なし群に比して優位に増加していた。脊髄半切後に電気刺激と歩行訓練の併用を1週間継続すると、neuron differentiationに加え、neuron projection development, axonogenesis, synapse, myelination,など軸索および髄鞘の再生促進を示唆するGO-termに含まれる遺伝子群が増加していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硬膜外電気刺激装置の植え込みと刺激およびトレーニングプロトコル、RNA-Seqサンプル回収、GO-term解析等遺伝子発現解析を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄半切モデルに対する硬膜外電気刺激併用リハビリテーションを行った直後にライブラリ作成用mRNAを回収し、RNA-Seq解析によって有意に発現が変化した遺伝子群に対するGO term解析、クラスタリング、 pathway解析の結果から、新たに同モデルを作成し、免疫染色用に脊髄サンプルを回収する。免疫染色や電子顕微鏡による解析によってシナプス形成、再髄鞘化の有無や、硬膜外電気刺激とリハビリによる影響を調査する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症流行に伴う実験の自粛等により、新たな実験に遅れが生じたため。今後は予定されていた実験を速やかに施工する計画である。また次年度所属変更に伴い、代表者自身の研究室の運営費・研究費に使用し、本研究を加速する方針である。
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