2019 Fiscal Year Research-status Report
軟骨細胞グライコーム解析による変形性関節症発症機序の解明
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19K18516
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宝満 健太郎 北海道大学, 医学研究院, 博士研究員 (40823331)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 関節軟骨 / 肥大化 / グライコーム |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、1、マウス器官培養系に軟骨変性を再現できる、2、マウス初代軟骨細胞の分化過程における糖鎖構造変化を解析する、の2点を研究目標とし、研究を実施した。 1、軟骨変性モデルの確立 C57BL/6マウスより大腿骨頭軟骨を採取し、高マンノース型糖鎖を分解する酵素(α-mannosidase)を添加することにより軟骨変性を惹起させる器官培養系を作成した。前培養48時間を経た後、試薬を添加し、24、48、72時間後に軟骨片と培養上清を回収した。培養後の軟骨組織はHematoxylin & eosin、Safranin O染色に組織学的評価、Type IIコラーゲン、Type Xコラーゲンによる免疫染色、real-time RT-PCRによる遺伝子発現の解析、培養液中のプロテオグリカン量等を測定することで軟骨変性を確認した。 2、初代軟骨細胞による肥大分化モデルのグライコーム解析 5日齢のC57BL/6マウスの膝関節軟骨を採取しコラゲナーゼ処理することにより初代軟骨細胞として単離した。初代軟骨細胞を単層培養で、1×ITSユニバーサルカルチャーサプリメント(インスリン、トランスフェリン、亜セレン酸を含有する)および300ng/mlの濃度でBMP-2を添加することにより肥大分化を誘導した。誘導開始から0, 7, 14, 21, 28日で細胞を回収し、Type Xコラーゲンによる免疫染色およびreal-time RT-PCRによる遺伝子発現により肥大化を確認した後、全細胞グライコーム解析を実施した。N型糖鎖、O型糖鎖、糖脂質、グリコサミノグリカン、遊離オリゴ糖鎖の各クラスにおいて肥大過程における糖鎖構造変化を補足し、なかでもN型糖鎖の活発な変化を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的に設定した、軟骨変性モデル確立と軟骨細胞の肥大分化過程におけるグライコーム解析に対し、モデルの作成と軟骨細胞の肥大化実験を行った結果、糖鎖変化が軟骨変性を惹起することを示し、分化過程において軟骨細胞上の糖鎖構造が劇的に変化する結果が得られ、概ね良好な達成度であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の目標は、1、マウス膝関節に外科的半月板切除を施術して変形性関節症を引き起こすin vivo 力学負荷モデルを作成し、関節軟骨上の糖鎖構造変化を解析する、2、2019年度のグライコーム解析の結果と比較して変形性関節症に関わる重要な糖鎖構造を候補分子として検出する、の2点としている。
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