2020 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の腰痛症の病態を解明する筋電図解析を同期した新たな三次元歩行動作解析の提案
Project/Area Number |
19K18520
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三浦 紘世 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (40818051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歩行解析 / 三次元動作解析 / 筋脂肪変性 / 腰痛 / 高齢者 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者の腰痛症例45例(男性10例、女性35例)を対象として、本歩行解析を実施した。平均年齢は69±8.8歳であった。歩行負荷は、直線10mと半円2.5mで1周約25mのオーバル型コースを用いて疼痛により継続困難となるまで平地連続歩行を行った。三次元動作解析システムはVICON MX system (VICON社, Oxford, UK)を用いて脊柱骨盤角度の変化を解析した。体幹筋の脂肪変性をCTでL3椎体高位での大腰筋(PM)と背筋群(BM)、仙腸関節下縁での大殿筋(GM)の筋断面積に対する筋内の脂肪断面積の割合をImage Jを用いて算出した。脊柱骨盤角度変化量(Δ)と体幹筋脂肪変性との関係をSpearmanの順位相関検定で検討した。 脊椎矢状面角度は胸椎TSAで歩行開始時27.8°±13.4/歩行最終時31.3±14.5°、腰椎LSAは7.7±9.7°/ 9.8±10.3°、全脊椎SAは21.4±10.4°/ 24.6±11.3°であった。脊椎の矢状面角度は有意に後弯が連続歩行により増大した。骨盤矢状面角度PSAは3.9±8.8°/ 5.2±9.1°であった。体幹筋の脂肪変性の平均はPM5.6%, BM11.8%, GM8.3%であった。矢状面バランス変化量と体幹筋の脂肪変性の関係ではΔLSAとBM(r=0.39, p<0.05), ΔPSAとBM(r=0.67, p<0.01), GM(r=0.49, p<0.01)に有意な相関を認めた。 本研究では歩行による脊椎骨盤の矢状面バランスの変化と体幹筋の脂肪変性の関連を検討し、脊椎や骨盤の動的な変化と背筋群、大殿筋の脂肪変性との関連を認めた。高齢者の腰痛症の歩行時の脊柱骨盤の動的バランス評価に背筋群や大殿筋の脂肪変性の評価も有用である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標症例数60例に対して45例遂行している。Covid-19の影響で症例登録できない時期も生じたが、現時点では進捗は許容される範疇である。まだpreliminaryなデータとして45例の統計学的解析においても歩行時の脊柱や骨盤の動的なアライメントの変化を有意な変化として捉えられている。動的なアライメント変化の要因としてCTで評価した体幹骨盤の筋肉の脂肪変性が示唆される結果でもあった。症例登録のペースと解析結果から、計画通りに順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
現状の解析手法を用いて60例まで行い、設定した評価項目での統計学的解析を実施する。また、腰痛症の分類化(脊柱変形を伴うかどうか、椎体骨折を伴うかどうか)による、歩行時のアライメントや筋肉の状態の差異を明らかにすることができれば、将来的には治療方針の計画に寄与できると考えられる。
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Causes of Carryover |
他研究助成金により学会参加のための旅費・その他の算出が可能であったため、余剰が生じた。Covid-19による参加予定の国際学会が中止・延期となったことも影響した。最終年度は次年度使用額を含めて成果発表に励み支出を要する計画である。
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