2019 Fiscal Year Research-status Report
脂質代謝と概日リズムの異常が軟骨変性におよぼす影響に関する検討
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19K18521
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
赤木 龍一郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 助教 (10638315)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 / 概日リズム / 脂質代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の当グループの研究から、ヒトおよびマウスの軟骨組織において、NR1D1およびBMAL1といった概日リズム制御の中心的役割を果たす遺伝子およびタンパクの発現が年齢や変形性膝関節症の進行とともに低下することを示した。概日リズム遺伝子は脂質代謝やエネルギー代謝の経路とも密接に関わることが報告されており、脂質代謝異常が軟骨における概日リズム遺伝子発現に与える影響を明らかにするとともに、軟骨変性に及ぼす影響を明らかにすることを目的に研究を行っている。 過去の文献的探索の結果、脂質代謝・エネルギー代謝と概日リズムにともに関わる遺伝子、また脂質代謝・エネルギー代謝あるいは概日リズムと軟骨変性・変形性膝関節症に関わることが報告されている遺伝子を複数抽出した。ここで候補に上がった遺伝子の発現をリアルタイムPCR法にて培養軟骨細胞で確認するとともに、small interfering RNA(siRNA)を用いて概日リズム遺伝子発現を抑制した場合の発現変化について解析を行っている。現時点ではまだ肥満・エネルギー代謝異常と概日リズム遺伝子の異常、変形性関節症を結びつける決定的な成果は得られていない。 また、肥満によって関節内に生じるin vivoの変化を解析するため、肥満度によって関節液あるいは滑膜における遺伝子発現がどのように変化するかを解析する予定である。現在、本学における倫理審査委員会の承認を待っているところである。 さらに、動物実験において脂質代謝異常モデル動物と昼夜逆転モデル動物を用いて変形性膝関節症の進行や、各種遺伝子発現の異常を解析する準備をすすめていたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い動物実験の実施に制限がかかっており、まだ大きな成果は得られていない。 来年度は、上記のそれぞれのプロジェクトを継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
主に進行中のin vitroの実験では、文献的探索から候補に上がった遺伝子の発現や、概日リズム遺伝子の発現抑制に伴う変化が予想と異なり明らかな関連を示すことができず、候補遺伝子の再検討を行いながら引き続き実験を継続している。 患者サンプルを用いたin vivo検体の解析については倫理審査委員会の承認がまだ得られておらず、進行していない。 動物実験については新型コロナウイルスの感染拡大に伴って動物実験の実施に制限がかかっているため、当初予定していた実験が進められていない状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト培養軟骨細胞を用いた実験は引き続き候補遺伝子を検討しながら継続する。 患者検体を用いた解析については倫理審査委員会の承認が得られ次第開始するべく準備を進めている。 動物実験については実験を遂行する準備は整っているため、実施制限が解除され次第進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度のin vitroの実験で予定していた結果が得られなかったため、候補遺伝子の探索をあらためて継続している状況であり、あらたな試薬の購入量が予定よりも少なかった。また、動物実験が進められていないことも理由である。 次年度は引き続き候補遺伝子の探索を行い、得られた結果を以て試薬の新規購入が必要となる見込みである。また、動物実験の実施制限が解除されて実験が開始された際に動物の購入費用や試薬の購入などが必要となる。
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