2020 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症の慢性疼痛化に対する疾患特異的マクロファージの作用の解明とその制御
Project/Area Number |
19K18523
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
星野 傑 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (70836923)
|
Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 変形性関節症 / 遺残疼痛 / マクロファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
疼痛の慢性化における炎症細胞浸潤と線維化を評価するために低用量モノヨード酢酸をラットの膝関節に投与した急性疼痛-消退モデル作成した。低用量モノヨード酢酸をラットの膝関節に投与した後1日目より5日目までに一過性の中等度の細胞浸潤を認めた。早期に低用量モノヨード酢酸によって炎症反応を示したが、5日目以降には膝蓋下脂肪体内の単位面積当たりの浸潤細胞数は減少した。それに伴い、線維化等の器質的変化を膝蓋下脂肪体で示すことはなく、膝蓋下脂肪体は正常組織と同様の組織像へと戻っていった。高用量モノヨード酢酸をラット膝関節に投与した慢性疼痛モデルを作成した。高用量モノヨード酢酸投与後早期1日目に血管周囲より細胞浸潤がはじまり、続いて1から5日目にかけて膝蓋下脂肪体全体に細胞浸潤を認めた。膝蓋下脂肪体における、マクロファージの免疫染色を行った。マクロファージの評価でも早期に膝蓋下脂肪体内の血管周囲での増加がはじまり、続いて膝蓋下脂肪体全体でのマクロファージの増加を認めた。続いて急性疼痛から慢性疼痛への移行期である、高用量モノヨード酢酸投与後5日目から7日目にかけて膝蓋下脂肪体の線維化が急激におきていた。高用量モノヨード酢酸を投与した慢性疼痛モデルにおける、疼痛の慢性化における線維化内への血管新生とCGRP陽性繊維の侵入を免疫染色を行い評価した、7日目から14日目にかけて膝蓋下脂肪体内でα-SMA染色で新生血管の増加を認めた。CGRP染色では、IFPの微小血管周囲にCGRP陽性の線維数が増加した。急性炎症から慢性疼痛へと炎症並びに疼痛が遷延化するさいに、血管新生の伸長に伴走する形で神経線維の伸長が起こる可能性が示唆された。以上に関し日本整形外科基礎学会等で報告した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症の影響により、アメリカ留学からの帰国の時期にと帰国後の実験開始においてずれ込みがあり、本年の実験開始を予定通り行えなかった。 また、パンデミックによる非常事態宣言により本大学の研究施設への入場に規制がかかり当初の予定通り研究を行えなかった。研究物品の購入、搬送にも時間を要した。 本研究では多くの免疫染色法を行っているが、免疫染色の方法調整に時間がかかり、当初の予定通り研究を進行出来なかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在までの実験で示したように、膝蓋下脂肪体の線維化に先立ち血管周囲でのマクロファージの増加を認めた。肺線維症の分野において、FACSにてLy6C-Mac1+分画のうちMsr1+Ceacam1+分画の疾患特異的線維症型マクロファージが組織線維化に重要な役割を果たしていると報告された(Nature 2107 Satoh et,al.)。上記知見より今後の研究のス新方策として、本実験では滑膜内マクロファージをFACSにてLy6C-Mac1+分画のうちMsr1+Ceacam1+分画の線維症型マクロファージとその他のマクロファージにソーティングする。これらマクロファージと滑膜由来MSCsをトランスウェルインサートを用いて共培養する。72h後に滑膜由来MSCsのRNAを回収してColⅠ、ACTA2等の線維化関連遺伝子の発現をqPCRにて解析する。
|
Causes of Carryover |
本年度はコロナや実験計画の遅延があり当初の予定通り研究を遂行する事が出来ず、当初予定の研究を行わなかったため、次年度使用額が生じた、次年度に本年度予定していた、実験を行う為、次年度使用額として算出した。
|
-
[Journal Article] Effects of different surgical procedures for meniscus injury on two-year clinical and radiological outcomes after anterior cruciate ligament reconstructions. -TMDU MAKS study2022
Author(s)
Takashi Hoshino, Yusuke Nakagawa, Kei Inomata, Toshiyuki Ohara, Hiroki Katagiri, Koji Otabe, Kanehiro Hiyama, Kenta Katagiri, Mai Katakura, Hiroko Ueki, Masaya Hayashi, Tsuyoshi Nagase, Ichiro Sekiya, Takashi Ogiuchi, Takeshi Muneta, Hideyuki Koga
-
Journal Title
Journal of Orthopaedic Science
Volume: 27
Pages: 199~206
DOI
-
-
-
-