2019 Fiscal Year Research-status Report
人工膝関節術後患者の関節腫脹に対して高気圧酸素治療が与える影響の検討
Project/Area Number |
19K18526
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大原 敏之 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (00793001)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高気圧酸素治療 / 人工膝関節全置換術 / 軟部組織腫脹 / 変形性膝関節症 / 術後機能回復 / 入院期間短縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工膝関節全置換術(Total Knee Arthroplasty: TKA)は広く行われている手術であり、変形性膝関節症患者に対しよく施行される。変形性膝関節症は、膝関節の疼痛変形やアライメント変化に伴い、日常生活が大きく制限される。TKAにより除痛や変形矯正、関節可動域の回復が得られ、QOLを改善させることができる。しかし術後の膝関節周囲軟部組織の腫脹は、リハビリの長期化や入院期間の延長につながる懸念要素であったが安静やアイシングによる対症療法が主であった。軟部組織の腫脹や循環障害に対して、2ATA以上の高分圧酸素を吸入し溶解型酸素量を増やすことで循環不全に陥り酸素供給の減少した組織の再酸素化を図る高気圧酸素治療(Hyperbaric Oxygen: HBO)を行うことで、腫脹の減退を得ることが可能か検討することが目的であった。 HBOの腫脹軽減効果や軟部組織修復促進効果の基礎研究による報告は散見されるが、整形外科待機手術に対するHBOの影響を検討した報告はこれまでにない。当初我々はHBO群とControl群の2群間の比較で研究を開始する予定であったが、より高いエビデンスレベルを目指し、Randomized Controled Trialに変更して研究を行うこととした。その為より適切な実験計画の検討や、当初のような多人数同時の加療ではなく、単独加療のためのHBO治療の枠の調整確保、倫理申請の検討に時間を擁していた。COVID19の影響により2020年4月から研究活動も停止しており、倫理審査申請が再開され研究の許可が得られ次第、症例リクルートを開始する。 本年度は骨折や筋肉靭帯などの治癒過程にHBOが良好に作用することや、Control群の設定方法などにについて改めて文献を渉猟し学会発表を行なってきたので、その知識や経験も踏まえた研究とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
より高いエビデンスを目指した研究デザインを目指し、単純なHBO群とControl群の2群比較から、Randomized controled trialへとデザインを変更した。患者に対する盲検性を維持する為、元来の当院の強みである第2種装置による多人数同時加療方法から、単独での加療へと施行方法を変更した。そのためHBO加療の通常業務との調整による新たな枠の確保が必要となった。また盲検性のため、Control群に対してもHBOChamber内での適切な分圧での空気吸入を施行することとしたので、さらなる加療枠の確保が必要となった。また2020年3月ごろからのCOVID19の影響で倫理審査はじめ各種研究活動が停止していることも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID19による研究への影響がなくなり次第、新たな研究デザインの倫理申請を行う。許可が得られ次第症例のリクルートを行い、症例蓄積を開始する。 従来は毎週数件の人工膝関節手術があったが、COVID19による影響で外来診療の縮小と手術枠の縮小が生じているため、週に1件の手術の確保も難渋している状態である。またこの影響が1年以上続く可能性も示唆されている。そのため予定していたペースでの症例の蓄積がなされない可能性が高い。 対応策としては、対象症例を人工膝関節手術に限らず膝周辺手術(関節鏡手術や骨切り手術)にまで広げることや、研究期間の延長を考えている。
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Causes of Carryover |
本年度中に購入しなかったPCや統計ソフト、画像処理ソフトなどを次年度予算内で購入し、得られたデータの管理や解析を行う。また、本年度は主な学会が、関東近郊で行われることが多く、旅行代も多くは必要ではなかったが、それに比して次年度は沖縄や札幌など比較的遠方での学会が多く予定されている為。
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Research Products
(3 results)