2019 Fiscal Year Research-status Report
立位MRI・動態超音波評価を用いた早期変形性膝関節症に対する新しい評価方法の開発
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19K18528
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
下崎 研吾 金沢大学, 附属病院, 医員 (10800617)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 早期変形性膝関節症 / 超音波 / MRI / 立位 / 動的評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
早期変形性膝関節症(膝OA)患者に対する立位及び膝屈曲伸展位超音波検査と自覚的・他覚的臨床所見の評価は早期膝OA患者100例に対して実施し、早期膝OA患者の特徴的半月板動態に関しては「膝屈曲にて内側半月板の逸脱が改善しないことが半月板hoop機能低下と関連する」こと、および「この内側半月板の動態を超音波にて評価することが可能である」という一定の見解を得た。これらに関して本研究の根幹をなす部分であり臨床意義も非常に高いと考えられ、第11回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会にて発表した。また早期膝OA患者に対する立位MRI検査に関しては12例に対して施行し、そのデータ解析までが終了し、その特徴的所見も算出されつつある。これらの所見から早期膝OA診療における超音波検査がMRI検査によって裏付けされた信頼性の高いものであると示されることは、超音波による同疾患の早期診断や分類さらには治療介入につながる重要な要素である。さらに立位超音波検査を用いた外側楔状足底板治療効果の評価を15例に対して施行した。これにより「外側楔状足底板の効果が超音波によって可視化できる」ことが示され、今後外側足底板治療の適応症例や適切な外側楔状足底板の角度を見出す上での土台が構築された。この内容は第31回日本整形外科超音波医学会にて報告した。今後は得られた各所見の関連を見出すことで、早期膝OA患者に対する診断・治療戦略となるような、早期膝OA診療における超音波分類を導き出すこと行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々の本研究での研究目標は①立位MRI検査および立位・屈曲伸展位超音波検査を用いた早期膝OAの特徴的半月板所見の解明と臨床症状との関連の検証、②立位超音波検査を用いた早期膝OA患者の外側楔状足底板治療効果の評価である。 早期膝OA患者に対する立位・屈曲伸展位超音波を用いた特徴的所見半月板所見の解明に関しては100例を対象に行い、すでに特徴的な所見を捉えることが可能であった。現在これに関してはすでにその一部の内容を第11回日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会にて発表した。また2020年に行われる第93回日本整形外科学会学術総会(2020年)に発表予定であると同時に英文論文に投稿中ある。またこの100例については計画書に記載したように自覚的・他覚的な臨床症状の評価が終了しており現在超音波所見との関連を検討中である。立位MRI検査を用いた検討では現在12例に実施できており、データ解析まで終了している。 他方、立位超音波検査を用いた早期膝OA患者の外側楔状足底板治療効果の評価についてはこれまで15例に実施し、「超音波によって外側楔状足底板治療の効果は評価が可能でありその効果を可視化できることでメリットがある」との一定の見解が得られたことから、第31回日本整形外科超音波医学会にて発表し、現在同学会誌に論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は早期膝OA患者に対する立位MRI検査を積極的に進めて対象数を増加させる。これによって早期膝OA患者で見られる特徴的なMRI所見を解析すると同時に超音波所見との関連を検討する。また同時にこれら画像所見と自覚的・他覚的臨床所見の関連性についても照らし合わせる。立位MRIと立位・膝屈曲伸展位超音波さらに臨床所見の関連を見出すことで、早期膝OA診療における超音波検査の再現性や信頼性の高さを示す。これによってMRIと比較し簡便に行えるという超音波のアドバンテージを最大限に活かした早期膝OA治療戦略を導き出す予定である。また立位MRIと超音波さらには臨床所見との関連に関しては、2020年学会にて随時国内・海外発表し、2020年度内に和文・英文論文として残していく予定である。また外側楔状足底板治療効果に関しては、治療介入前後の超音波を用いた荷重・動的評価を行うことで、治療の効果判定だけでなく、この評価方法を活かした外側楔状足底板高の決定や装着コンプライアンス上昇など治療方針にも関わる所見を評価していく。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としまして、該当年度である2019年には同研究を海外にて発表する機会はなく、学会参加費として考えていた使用額が未使用であったことが最も大きな理由である。また翌年国際学会への参加を見越し、その使用を必要最小限の物品の購入と英文論文校正費に限定したことも理由と考えます。この次年度使用額と翌年度助成金を合わせまして、海外学会への参加および発表に使用するととともに、英文投稿のための費用として使用する予定であります。
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