2019 Fiscal Year Research-status Report
変形性膝関節症に対するPLA cellsによる軟骨保護・抗炎症効果の基礎的研究
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19K18530
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
坂本 拓己 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 助教 (40634837)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 変形性膝関節症 |
Outline of Annual Research Achievements |
変形性膝関節症(膝OA)患者は高齢人口の増加により初期病変も含めると膨大な患者数となり、健康寿命延伸のため解決すべき課題である。国内では膝OAに対する軟骨再生治療は、間葉系幹細胞(MSCs)、胚性幹(ES)細胞、人工多能性幹(iPS)細胞を用いて研究が行われており、また自家培養軟骨移植を用いた臨床研究も2018年秋から進行中であるが、先行研究においては進行した膝OAに対する十分な治療効果は示されていない。今回我々は、MSCsよりもさらに簡便に入手可能な脂肪組織から得たprocessed lipoaspirate cellsを用い、膝OAに対する軟骨再生・保護効果および、抗炎症・除痛効果についての基礎的研究を行っており、その結果をinjection of processed lipoaspirate cells has anti-inflammatory and analgesic effects but does not improve degenerative changes in murine monoiodoacetate-induced osteoarthritis.の題名でBMC Musculoskelet DisordIntraarticular に投稿し、記載された。同種の脂肪由来細胞を変形性膝関節症動物モデルの膝関節に直接投与することで、変形性変化が早期に投与できた場合には変形性変化を抑制し、疼痛を緩和されることが示唆された。一方で変形性変化が進行した個体に投与した場合には変形性変化は抑制されず、軟骨の再生は得られなかった。しかし進行した個体でも疼痛抑制効果は認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今回の我々の研究では、初期膝OA動物モデルにMSCsの関節内直接投与を行うことで、関節軟骨の再生・保護効果を認めるものの、進行した膝OAに対する軟骨再生・保護効果は示せなかった。しかし局所での抗炎症・除痛効果においては、進行期膝OA群においても早期膝OA群と同等の結果が得られる可能性が示せた。その結果をinjection of processed lipoaspirate cells has anti-inflammatory and analgesic effects but does not improve degenerative changes in murine monoiodoacetate-induced osteoarthritis.の題名でBMC Musculoskelet DisordIntraarticular に投稿し、記載されたため上記区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
より治療効果高い脂肪由来細胞(processed lipoaspirate cells)の選出、また自然発症モデルなどより臨床の症例に近いモデルでの検討などを今後検討していく方針である。
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Causes of Carryover |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。 当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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