2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K18531
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鎌仲 貴之 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (30791884)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人工関節 / 晩期感染症 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
人工関節インプラントにおける晩期感染症の病態解析を行うため、各種合金における細胞増殖能評価とサイトカイン発現の定量を行った。骨芽細胞系のMC3T3-E1細胞では複合金属での細胞増殖性に影響は見られなかった。一方で細胞毒性評価に用いられるRaw264マクロファージ様細胞やV79線維芽細胞を使用した細胞増殖能評価を各種金属(Al、Sn、Pt、Mn、Ir、Cr、Ni、Au、Ti、Co、Fe、Pd、In、Ag、Zn、Cu)で行った。金属別ではNi、Co、Cr、Pdにおいて細胞増殖の抑制が見られた。Al、Sn、Tiでは細胞増殖の抑制は見られなかった。しかし、細胞増殖抑制が見られない金属同士を組み合わせた場合でも細胞増殖抑制を認める場合があることも分かった。例えば、TiとAlを組み合わせることで明らかな細胞増殖の抑制が見られた。またサイトカインについてもCcl2ではTiとAlを組み合わせることでサイトカイン発現の増大を認めた。合金である15Zr-4Nb-4TaにおいてはIL-1B、IL-6、IL-18、TNF-αなどのサイトカイン発現が他の金属(純Ti、Ti-6Al-4V、CoCr)に比べて低い傾向にあることが分かった。金属は単体である場合と合金である場合で細胞増殖への影響が異なり、サイトカイン発現についても同様のことが言えそうである。 また、症例数は少ないが人工関節置換術後の感染により再置換術となった症例から採取したインプラント周囲の組織や関節液を解析中であり、金属濃度やサイトカイン定量を行っている。摩耗などでインプラントから漏出する金属が存在し、細胞に影響を与えている可能性があると予測している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種金属、合金における細胞レベルの増殖能やサイトカイン発現の評価をすることができ、ある程度傾向をつかむことができた。人工関節再手術患者が少なく、臨床検体が少ないが引き続き収集していきたい。細胞実験の結果を踏まえて今後の動物実験計画を立てたい。
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Strategy for Future Research Activity |
人工関節置換術を受けた後、晩期感染症のため再手術となった患者の再手術時に採取された臨床検体(インプラント組織や関節液)を引き続き収集する。臨床検体中に含まれる各種金属の濃度やサイトカインを解析していく。またラットを使用した動物実験を行う。ラットの背部皮下や大腿骨遠位に各種金属片を埋入する。金属片はCo-Cr-Mo,Ti-6Al-4V,Ti-15Zr-4Nb-4Taを使用する。挿入後1週間、1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月の時点で採血を行いサイトカインを測定し免疫機能を評価する 。
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Causes of Carryover |
当院における人工関節置換術の晩期感染症患者の再手術症例が少なく、臨床検体の解析数が少ない状況であった。そのため解析にかかる費用が初年度は少なかった。今年度も臨床検体が少ない場合は動物実験での解析数を増やしていく予定である。
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