2022 Fiscal Year Annual Research Report
変性黄色靭帯におけるグリコサミノグリカン解析と腰部脊柱管狭窄症の治療への応用
Project/Area Number |
19K18533
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
河野 通快 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30547740)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腰部脊柱管狭窄症 / 黄色靭帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
腰部脊柱管狭窄症の有病率は高く、今後も患者数が増加することが推計されているが、現行の薬物治療は対症療法が主体で、病態は根本的には解決されない。腰部脊柱管狭窄の主要因に黄色靭帯の肥厚があり、靭帯内部には軟骨組織が増生し、軟骨基質には種々のグリコサミノグリカンを含有している。われわれは質量 分析によって微量サンプルからグリコサミノグリカンを分析する技術を確立し、その詳細な組成を報告してきた。本研究は腰部脊柱管狭窄症 における変性した黄色靭帯に含まれるグリコサミノグリカンの組成を、未変性靭帯を対照として、質量分析の手法を用いて明らかにすることを主たる目的としている。 腰部脊柱管狭窄症の手術で摘出した変性黄色靭帯組織と、対照となる若年者の腰椎椎間板ヘルニアの手術時に摘出した未変性靭帯組織について、種々の免疫染色を含む組織学的分析を行なった。また、グリコサミノグリカン以外の細胞外基質としてコラーゲン、エラスチンを定量した。グリコサミノグリカンを含め、コラーゲン、エラスチンは、未変性靭帯と比較して変性靭帯において有意に高値であった。特にグリコサミノグリカンの量比は最も高値であった。組織学的解析では変性靭帯内において軟骨化生が生じていることを確認した。 変性靭帯におけるグリコサミノグリカン含有量の部位別検討では、尾側部>中央部>頭側部の順で尾側部は頭側部と比較して有意に高値であった。さらにグリコサミノグリカンを二糖化酵素で処理し、質量分析により解析した結果、3種のコンドロイチン硫酸(ΔCS-0S,ΔCS-4S,ΔCS-6S),ヒアルロン酸、ケラタン硫酸を検出した。いずれも未変性靭帯と比較して変性靭帯において有意に高値であった。
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