2019 Fiscal Year Research-status Report
脊椎靭帯骨化症の病因解明:糖尿病に伴う終末糖化産物(AGEs)の関与
Project/Area Number |
19K18548
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Research Institution | National Hospital Organization Murayama Medical Center |
Principal Investigator |
矢内 嘉英 独立行政法人国立病院機構村山医療センター(臨床研究部), 整形外科, 医員 (70801900)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
後縦靭帯骨化症や黄色靭帯骨化症などの脊椎靭帯骨化症は、糖尿病患者に多く発症する傾向があるが、その発症率がなぜ糖尿病患者で高くなるのかという機序は不明である。高血糖状態では、糖とタンパク質は架橋形成により終末糖化産物(Advanced Glycation End Products; AGEs)を形成し、タンパク質を変性劣化させることが注目されている。そこで、糖尿病で高血糖が続くことで、AGEsが靭帯を構成するタンパク質と結合しすることが、靭帯骨化症の一因であるという仮説を検証することが本研究の目的である。 ストレプトゾトシン(STZ)投与による1型糖尿病モデルラットを作成することから開始し、11匹については作成に成功した。STZ投与前血糖(mg/dl,平均±SD)が158.1±25.9、STZ投与後2週間の血糖が480±79.6、STZ投与前のHbA1cは1匹が4.0%、その他は4.0%未満であった。血糖とHbA1cは、チェッカートリーダー(東洋紡、大阪)を用いて測定した。その内、生存し約6ヶ月飼育した後に安楽死させて靭帯を採取できたのは4匹であった。採取した組織は、光学顕微鏡で靭帯組織として矛盾がないことは確認済みである。 加えて、2型糖尿病モデルラットのZucker fatty rat(ZFR)とコントロールのためのラットを購入した。ZFRを約半年飼育、上記同様に靭帯組織を採取し、AGEのELISAによる定量、組織学的評価を行う。各モデルラットの結果を比較し、靭帯骨化とAGEとの関連を証明する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
糖尿病を発症させる際のストレプトゾトシンの許容範囲が狭いため、1型糖尿病モデルラットの作成に難渋した。ストレプトゾトシンの投与量を調整しながら作成したが、糖尿病の急性発症により死亡したり、一方で発症しない例が多発したため、時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
1型糖尿病モデルラットから採取した靭帯組織に加え、現在飼育中の2型糖尿病モデルラット(Zucker fatty ratとそのコントロール)を6か月の時点で安楽死させ、靭帯組織を採取する。1型及び2型糖尿病モデルラットとコントロールラットの靭帯組織中のAGEsをELISAで定量し、組織学的な評価を行う。各群で比較検討することで、AGEsと靭帯骨化の関連を証明する。ELISA測定機器や組織学的評価に必要な機材は自施設にあり、精通した指導者もいるため、円滑に研究が進められるものと考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、研究代表者の努力により、物品費、その他を低く抑えることができ、また、今年度は旅費、人件費・謝金は支出しないで済んだからである。次年度はさらに多くの実験を行い、その成果を発表するなどして、次年度使用額を有効に活用する予定である。
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