2019 Fiscal Year Research-status Report
S100制御性がん-間質クロストークがもたらす膀胱がんの進展機構の解明
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19K18561
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
光井 洋介 岡山大学, 大学病院, 医員 (60803781)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 膀胱がん / がん関連線維芽細胞 / S100たんぱく質 / HMGB1 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究実績では主にHMGB1におけるデータを述べる。まず初めに膀胱がんの細胞株(T24、UMUC-1、UMUC-3、TCC-sup、J82、RT-4)の上清にS100たんぱく質や、HMGB1が分泌されることを確認した。そしてHMGB1 が膀胱がん細胞株の細胞遊走能を亢進するのを確認するために、Boyden Chamber を用いたMigration Assayにて確認し、実際にHMGB1濃度依存性に細胞の遊走能が亢進していることが分かった。 次に、HMGB1のレセプターであるRAGEをターゲットとした実験を行った。まずはRAGEをKnock outさせた線維芽細胞を24wellに接着・培養後にMigration assayを行った。このようにすることで、癌細胞と線維芽細胞の共培養における遊走能を確認することができる。線維芽細胞と共培養することで膀胱がん細胞株の遊走能は亢進し、RAGEをKOすることで遊走能は抑制することが分かった。これより、膀胱がんと線維芽細胞の間には遊走能を亢進させる相互作用があり、その一端を線維芽細胞側のRAGEが関与していると考えられた。さらに、RAGEの重要性、HMGB1の影響を調べるために、RAGE-Fc(HMGB1と結合することでRAGEのインヒビターとして働く)を用いた実験を行った。線維芽細胞と共培養することで亢進した遊走能は、RAGE-Fcによって抑制されることが分かった。これにより、遊走能の亢進にはHMGB1-RAGE経路が関与している可能性が考えられた。 さらに現在はN-Butyl-N-Nitorosaminのマウスへの持続投与における膀胱がん発生モデルを作成中であり、今後膀胱がんの発生、進展に関する実験に用いる予定である
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vitroによる研究はおおむね順調に進行している。今後はインヒビターを用いた実験や、実際の検体の免疫染色などを予定している。現在In vivoの実験も同時に行っており、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はRAGEの下流の経路の検索、新しいレセプターの検索、さらにそれらをインヒビターによる抑制によって抗腫瘍効果の確認を予定している。さらに現在マウスの膀胱がんの腫瘍モデルを作成中であり、そのモデルを用いた実験を予定している。
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Causes of Carryover |
当該年度に予定していた阻害薬を用いた実験の実施ができなかったため残額が生じたが、次年度に実施をするため、当該費用に支出する予定である。
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