2019 Fiscal Year Research-status Report
選択的オートファジー制御による新規尿路結石治療薬の開発
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19K18569
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
海野 奈央子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40836136)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オートファジー / 腎結石 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年ではオートファジーと尿路結石の関連を調べるためにヒト検体、In vitro, In vivoで検討を行った。 まず、ヒト検体を用いた検討では、内視鏡手術治療時に確認できる腎盂粘膜に観察されるプラーク部と非プラーク部を生検し、組織を電子顕微鏡で確認したところ、非プラーク部位では、オートファゴソームが観察されたが、プラーク部ではほとんど観察されなかった。オートファジーの亢進で発現が低下するp62で免疫染色を行ったところ、プラーク部位ではp62の発現が亢進していた。 次に、In vitroではシュウ酸カルシウム結晶を尿細管細胞に添加したところ、オートファジーが時間経過とともに低下することがわかった。結晶の添加がオートファジーを低下させた原因として、結晶添加により細胞内に発生する活性酸素種ROSがオートファジーを上流で制御するmTORを亢進させたこと、さらにmTORの亢進により転写因子であるTFEBの核内発現が低下しており、それに伴いオートファジーが低下したことが考えられた。 さらに、In vivoでは、グリオキシル酸をマウスに投与して結石を形成させたマウスにてオートファジーの発現を検討した。まず、透過型電子顕微鏡で尿細管を観察したところ、近位尿細管において特に細胞内でのオートファジーの低下が確認された。一方で、結石形成が認められなかったマウスにおいては、細胞内の障害が目立たず、オートファゴソームも多数認められたことから、オートファジーの低下により結石形成が促進されたことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は上流因子の検討や、制御薬投与による検討を行う。
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Causes of Carryover |
オートファジーの制御によって結石を予防できると着想し、①オートファジー機構の解明 ②尿路結石のバイオマーカーの開発 ③その制御による尿路結石の新規治療薬の開発を試みる計画である。初年度は尿路結石形成における尿細管細胞傷害とオートファジーの機能解析の計画であった。試薬を無駄なく発注したこと、実験助手への謝金が当初の予定より小額となったことから、次年度使用額が発生した。次年度の遺伝子改変マウスを用いたオートファジーの機能解析とバイオマーカーの開発に有効に使用していきたい。
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