2021 Fiscal Year Research-status Report
選択的オートファジー制御による新規尿路結石治療薬の開発
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19K18569
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
海野 奈央子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40836136)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー / 尿路結石 |
Outline of Annual Research Achievements |
In vivoにおいて、オートファジー可視化マウスにグリオキシル酸(GOX)投与により結石を形成させ、オートファジーの選択性を、オルガネラと、ユビキチンタンパク、リン酸化p62の2重免疫染色で、さらにPINK1とPARK2/ParkinのWestern blotで検討した。結石形成前において、GOXにより傷害されたオルガネラがポリユビキチンにより標識され、オートファジーにより選択的に除去された。一方で結石が形成されたマウスでは、細胞内に多数の傷害オルガネラが残りそれらが結石形成の原因になる可能性が示唆された。さらに、結石形成後においてはオートファジー活性が低下し、これらのオルガレラの処理が行われない可能性が示唆された。そこで、オートファジーを 上流で制御するmTORの発現、更にはmTORによって制御をうけ、リソソーム形成やオートファジー活性化に関わるTFEBの発現を調べたところGOX投与とともに mTOR発現は上昇する一方で、TFEBの発現は低下した。TFEBのターゲットとなるlamp1,uvragの発現をqPCRで確認したところ、TFEBの発現低下を反映して同様に発 現が低下することがわかった。また、オートファジーで発現が低下するリン酸化p62の発現は、オートファジーの発現低下を反映して上昇していた。これらの結果は、in vitroで結晶の添加による反応と同じであった。 以上のことから結石形成の初期において、mTOR活性の上昇によるオートファジー活性の低下が結石形成の起点となる可能性が示唆された。さらに、mTOR活性の上昇として細胞内に生じるROSがその上昇の一因となることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物での実験が順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
mTOR阻害薬による欠席抑制効果を検討する予定である。
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Causes of Carryover |
オートファジーの制御によって結石を予防できると着想し、①オートファジー機構の解明 ②尿路結石のバイオマーカーの開発 ③その制御による尿路結石の新規治療薬の開発を試みる計画である。計画自体は順調な滑り出しであったがCOVID-19による通常の医療業務が大幅に変更となり、予定していた研究を進めることができなかった。また国際・国内学会出張も計画していたが、出張することもできなかった。このため次年度使用が生じた。次に最終年度として、遺伝子改変マウスを用いたオートファジーの機能解析とバイオマーカーの開発をしたい。
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