2019 Fiscal Year Research-status Report
食塩感受性高血圧による尿路結石症促進の分子機構の解明
Project/Area Number |
19K18573
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
中澤 佑介 金沢医科大学, 医学部, 助教 (50743689)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 尿路結石症 / 食塩感受性高血圧 / トランスクリプトーム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
食塩感受性高血圧ラットモデル(Dahl Salt-sensitive Rat(DSr))を用いて高食塩食、高血圧、尿路結石の関連性について検討した。まず、7週齢の雄DSrを高食塩食の有無、結石形成負荷、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(Epl)投与の有無によって5群に分け実験を行った。高食塩摂取により血圧の上昇とシュウ酸カルシウム(CaOx)の尿中過飽和度、酸化ストレス、腎組織への結晶沈着の増加が観察された。降圧薬であるEplの投与は高食塩食による血圧の上昇だけでなく酸化ストレス・結晶沈着も抑制した。次に、ラット摘出腎からTotal RNAを抽出し、網羅的遺伝子解析としてマイクロアレイ法を用いて検討した。クラスター解析を用いて遺伝子発現を解析し結晶形成に関与しうる候補遺伝子をリストアップし、既報のCP, Cldn10, Umodに加え、新たにAlox15b, MMP7, TGF-β2の関連が示唆された。Semi-quantitative RT-PCRによるvalidationを行い遺伝子発現の整合性が確認された。以上のことから、食塩感受性高血圧ラットを用いて食塩感受性高血圧を有する尿路結石ラットモデルを初めて確立した。このモデルにより高食塩食は血圧上昇以外に、シュウ酸カルシウムの尿中過飽和度の増加や酸化ストレスマーカーの増加による腎組織への結晶沈着増加を証明した。また、選択的アルドステロン受容体拮抗薬(エプレレノン(Epl))は高血圧の発症抑制だけではなく酸化ストレスを抑制させ結晶沈着を抑制させることを明らかにした。さらに、高食塩食は遺伝子発現を伴う微小環境の変化が結晶形成や組織損傷に寄与している可能性を検証した。EplはTGF-β2を抑制させることで結晶沈着を抑制させることを解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食塩抵抗性モデルラット(Dahl Salt-resistant Rat(DRr))を用いた実験において、高血圧の発症だけではなく尿路結石の腎組織への結晶沈着も減少した。 現在の仮説として尿路結石形成と食塩感受性高血圧の発症に共通の経路もしくは遺伝子変動が関連している可能性が考慮されるが、原因の同定には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)尿路結石形成と食塩感受性高血圧について DRrのラット摘出腎からTotal RNAを抽出し、先行実験の候補遺伝子との関連を検討する。 関連性が認められなかった場合、マイクロアレイ法を用いて先行実験の検体との比較から候補遺伝子を検討し、整合性を確認する。 (2)候補遺伝子の機能解析 ヒト腎近位尿細管(HK2)細胞を用いて、候補遺伝子をノックアウトによりシュウ酸カルシウム結晶負荷による変化をin vitroで検証する。
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Causes of Carryover |
研究計画の遅れに伴い、当初購入を予定していた、試薬の購入が少なく済んだため。 今後は研究の進行とともに試薬の購入を予定している。
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Research Products
(2 results)