2019 Fiscal Year Research-status Report
Ovol2/MOVOが精子形成過程において果たす機能とその役割の解明
Project/Area Number |
19K18574
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
谷口 久哲 関西医科大学, 医学部, 講師 (90460815)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Ovol2 / 精子形成 / 精巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
OVOL2は、ショウジョウバエの卵形成に関わるOVOのマウスホモログとして本学で発見されたZinc finger型転写因子である。報告者らはこれまでに、ovol2遺伝子を単離同定し、Ovol2/MOVOがマウス精巣の精子形成過程において、精母細胞のXY bodyに発現すること、Ovol2/MOVOが遺伝子の転写を抑制的に制御することを明らかにしてきた。さらに、ovol2遺伝子のヒト相同遺伝子hovo(HOVO)がマウスと同様にヒト精母細胞のXY body に発現することを明らかにした。本研究では「Ovol2/MOVOが精子形成過程において果たす機能とその役割を明らかにすること」を目的にovol2遺伝子の発現を欠損させたコンディショナルノックアウトマウスの表現型解析、Ovol2/MOVOにより発現が抑制される遺伝子の同定、ヒト精巣組織を用いた、ヒト精子形成過程におけるHOVOの発現と機能の解析である。報告者らのこれまでの研究で、ovol2遺伝子の完全ノックアウトマウスは胎盤や脈管系の形成異常で胚性致死になることが明らかとなっている。OVOL2はヒトの精巣に発現し、生後マウス精巣のパキテン期の精母細胞のXY体に局在することから生後の精子形成に関わる可能性がある。今回報告者らは精粗細胞の段階までで精巣特異的に発現する遺伝子をノックアウトしたコンディショナルノックアウトマウスの作製を行う。また、精巣内にはOVOL2の他にOVOL1も共発現することが報告者らを含めた研究から明らかとなっている。精子形成においてはこのOVOL1がOVOL2の相補的な作用を担っている可能性があるため、OVOL2とOVOL1のダブルノックアウトマウスの作製と精子形成についても検討をすすめている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を開始するにあたって、報告者らはまず哺乳類の精子形成におけるOVOL2の役割を明らかにするために、生殖系列特異的に発現するNanos3の遺伝子座にcreをノックインしたNanos3-creマウスを用いて、Ovol2のコンディショナルノックアウトマウス(Ovol2-cKO)を作製した。このOvol2-cKOマウスは胎生期の生殖細胞数が減少することが判明したが、それはNanos3依存的な表現型でありOvol2とは関係しないようであった。当初の計画にあったOvol2 cKOマウスの表現型に異常が認められなかったため、今後はOvol1とOvol2のダブルcKOマウスの作出に計画を変更している。
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Strategy for Future Research Activity |
Ovol1とOvol2のダブルcKOマウスを用いて表現型の解析を行う。ダブルcKOマウス作出に用いるドライバーマウスは、Nanos3-creの他に、それ自体が生殖系列の発生に影響しないStra8-creとNourogenin3-creも用いる。さらにovol2/movo-cKOマウスを遺伝学的に解析し、精子形成過程におけるmovo遺伝子がどの遺伝子の発現を抑制しているのかを検討したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は研究結果により、研究内容に一部変更を加えることになった為、当初の予定よりもやや遅れが出た状況である。次年度は上記の「今後の研究の推進方策」に記した研究内容に加え、Ovol2/MOVOにより発現が抑制される遺伝子の同定に対する検討を行いたい。
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