2019 Fiscal Year Research-status Report
前立腺癌リンパ節転移内の免疫環境による転移促進機構の解明
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19K18578
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
八重樫 洋 金沢大学, 附属病院, 助教 (00835275)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 腫瘍随伴マクロファージ / リンパ節転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
進行前立腺癌転移で最も多い部位は骨、次いでリンパ節であるが、研究の多くが骨転移に焦点を当ている。骨転移(M1b)とリンパ節転移(M1a)では予後に大きな差が見られず、リンパ節転移研究による転移機構の解明と治療法の開発も骨転移同様に急務である。本研究ではリンパ節転移内でのケモカインと免疫寛容に焦点を当て、前立腺癌リンパ節転移促進機構を明らかにする。リンパ管新生に関わる特異的な受容体VEGFR-3のリガンドVEGF-CはTGF-b1により誘導されることが報告されている。まず、リンパ節転移のカギとなる局所分泌蛋白としてTGF-1に着目した。アンドロゲン依存性ヒト前立腺癌細胞株LNCaPとマウス去勢下で増殖可能なアンドロゲン依存性ヒト前立腺癌細胞株C4-2Bにおいて、発現量は低いものの、いずれもTGF-b1の発現が認められた。また腫瘍随伴マクロファージモデルとしてヒト単球様細胞THP-1をPMA処理したものを用い、ケモカインCCL2の分泌を調べたところ、高発現が認められた。リンパ節内での腫瘍随伴マクロファージからのCCL2刺激を想定し、C4-2BにCCL2を加えTGF-b1の発現変化を調べたところ、濃度依存性に発現亢進が認められた。TGF-b1は上皮間葉移行マーカーの一つとされ、転移能の高い細胞に発現し、さらに自己分泌作用を有し転移を促進する可能性が報告されている。現在、TGF-b1およびCCL2、TGF-b1とCCL2との併用において、前立腺癌細胞の転移能がどのように変化するかを検討している。今後、CCL2とTGF-b1の腫瘍随伴マクロファージに対する役割を解析するとともに、リンパ節転移の増悪に関連する他ケモカインの同定も試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の予定を100%とした場合、50%程度と考えられる。ヒト前立腺癌細胞およびヒト単球様細胞を用いて標的となるサイトカインの分泌変化を一定程度明らかにしており、予定されていた実験の中では大方の実験は順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、CCL2とTGF-b1のTAMに対する役割を解析するとともに、リンパ節転移の増悪に関連する他ケモカインの同定および作用機序の解明も試みる予定である。
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