2020 Fiscal Year Annual Research Report
精索静脈瘤の男性不妊に及ぼす機序の解明と新規治療薬としてのシリコンナノ粒子の応用
Project/Area Number |
19K18584
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
稲垣 裕介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (80804400)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 男性不妊 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究では精索静脈瘤ラットをモデルを作成し、精索静脈瘤ラットでは精子運動率が低下していること、シリコン成分剤の摂取により運動率が改善することを明らかにした。本年度はこの実験系において、精子の酸化ストレス、DNA断片化について評価した。8-OHdG免疫組織化学染色で精子の酸化ストレスを評価したところ、sham普通餌群の5.7%に比べ精索静脈瘤普通餌群では22.8%と精索静脈瘤群で有意に高値であった。その一方で、シリコン含有餌を摂取した精索静脈瘤群では7.2%と普通餌群に比べ有意に低値となっていた。精子DNA断片化率はsham普通餌群の9.2%に比べ、精索静脈瘤普通餌群では22.6%と精索静脈瘤群で有意に高値であった。その一方で、シリコン含有餌を摂取した精索静脈瘤群では10.1%と普通餌群に比べ有意に低値であった。さらに、体外受精(IVF)を行い受精率を評価したところ、受精率はsham普通餌群で73.4%、精索静脈瘤普通餌群で26.3%と精索静脈瘤群で有意に低値であったが、シリコン含有餌の摂取により51.8%と普通餌群より有意に高値となっていた。 前年度の結果も含めまとめると、シリコン成分剤の経口摂取は精索静脈瘤により悪化した精子運動率を改善させた。さらに、精子酸化ストレス、精子DNA断片化を減少させ、体外受精の受精率を改善させた。以上のことから、シリコン成分剤は精索静脈瘤による男性不妊における新規内服治療法になりうると考える。
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Research Products
(4 results)