2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K18594
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西出 峻治 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10803132)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PHD阻害薬 / 腫瘍関連マクロファージ / がん微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍内に多量に存在するマクロファージは、低酸素の腫瘍環境において、腫瘍の増殖・転移を促進し、がん患者の生命予後を悪化させる大きな要因となっている。申請者らはこれまでに、プロリル水酸化酵素(PHD阻害薬)を用いて腫瘍環境を改善し、腫瘍増殖を抑制することを見出した。その際に腫瘍内マクロファージにおける、がん細胞への貪食活性が上昇していることを明らかとした。しかし、PHD阻害薬により活性化したマクロファージが、抗腫瘍効果の強い細胞障害性リンパ球など、他の免疫細胞を活性化するか否かについては明らかでない。本研究では今までの研究成果を踏まえ、PHD阻害薬による腫瘍環境の改善、マクロファージの活性化が、腫瘍増殖をいかに抑制するか詳細な機序を解明する。本研究により、PHD阻害薬によるマクロファージの貪食活性を基盤とした、新たな免疫療法が拓かれると考える。 PHD阻害薬は低酸素誘導因(HIF)の発現を高める。HIFはがん細胞に対しては増殖や転移を促進するとの報告がある(Semenza GL, et al. Nat Rev Cancer, 2003)。一方、マクロファージやT細胞などの免疫細胞に対しては代謝系を変えることで活性を高めるとの報告がある(Palazon A, et al. Immunity, 2014)。しかし、本研究のように薬剤で全身性にHIFを上昇させ、がん細胞と免疫細胞の競合を包括的に検討する論文はほとんどない。本研究により、腫瘍内で貪食が活性化した腫瘍関連マクロファージによって、組織障害性細胞(T細胞やNK細胞など)を活性化する詳細な機序が明らかにすれば、PHD阻害薬によるマクロファージの貪食活性を基盤とした新たな免疫療法が開拓できる。
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Research Products
(2 results)