2020 Fiscal Year Research-status Report
PDCD4に着目した去勢抵抗性前立腺癌の新規マーカー・治療の確立に関する研究
Project/Area Number |
19K18600
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
全並 賢二 藤田医科大学, 医学部, 講師 (60440731)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / 去勢抵抗性 / PDCD4 / miR-21 / eIF4a |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:去勢抵抗性前立腺癌 (castration resistant prostate cancer:CRPC)Cの詳細な機序は未だ明らかになっておらず、有効な治療法も確立されていない。本研究では、miR-21の有力な標的遺伝子で、癌抑制遺伝子であるprogrammed cell death 4 (PDCD4) に着目し、①前立腺癌における去勢抵抗性の機序の解明、②miR-21/PDCD4経路をターゲットとしたCRPCの治療選択や予後予測の新たなバイオマーカーの確立、新規治療法の開発を目的としている。 方法:前立腺全摘標本におけるPDCD4発現の検討を行った。当施設において前立腺癌と診断され、前立腺全摘除術を施行した40症例(Gleason score3、4、5、術前ホルモン療法後それぞれ10症例ずつ)を対象とし、前立腺組織包埋切片に対して免疫染色を行った。前立腺正常組織、または前立腺癌細胞におけるPDCD4、アンドロゲンレセプター (AR) の発現強度、分布について確認した。 結果:PDCD4は細胞質中心に分布していた。また、通常前立腺組織で高発現しており、GSが増えるごとにPDCD4蛋白発現は低下する傾向にあった。また、術前ホルモン療法を施行された症例においては高GSにも関わらずPDCD4が高い傾向にあった。AR発現についてはPDCD4と逆相関が見られた。 意義:癌抑制遺伝子であるPDCD4の前立腺癌臨床検体を使用してその分布、病理学的悪性度との逆相関が示唆された。また、ホルモン療法によってAR発現が抑制され、低下したPDCD4が再度高発現することも示唆された。 重要性:PDCD4の前立腺癌におけるマーカー、治療ターゲットとしての初期評価として重要な結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内の他部署と連携して研究を行っているが、COVID-19の感染拡大により、他部署の共同研究者との連携、協力が困難な状況があり、当初予定していたスピードで研究を進捗させることが出来ていない。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の状況は改善が見込めないため、web面談を活用してカンファレンスを行うなどの方策を取り、スムーズに研究が進むようにする。また、自分を含め当科内部でも研究に協力できる人間を見出し、カンファレンスで進捗状況を報告し、解決方法について意見交換を行う場を増やす予定である。
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Causes of Carryover |
前年度の研究が計画通りに進捗できなかったことにより、研究費の使用額も予定額を下回ることになったため、次年度使用額が生じた。次年度は遅れている分も含めた物品購入、人件費を使用する予定である。
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