2020 Fiscal Year Research-status Report
Application of the degradation system for ETV1 to prostate cancer therapy
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19K18613
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
渡辺 隆太 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (00813635)
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Project Period (FY) |
2020-03-01 – 2022-03-31
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Keywords | 前立腺癌 / SPOP / 体細胞変異 / TOP2A / CUL3 / ETV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
前立腺癌患者では変異型ETV1のタンパク質発現が亢進し、細胞の癌化へと導く。しかし、ETV1のタンパク質量の制御機構は未解明のままである。申請者は、CUL3/SPOPユビキチンE3複合体の基質タンパク質探索の中で、ETV1がその候補分子である事を突き止めた。本研究では、CUL3/SPOP複合体によるETV1の詳細な分解制御機構を解明し、当該複合体を標的とした変異型ETV1の分解促進剤を導出する。 SPOPの生理機能の解析を進めた結果、SPOPがAR/TOP2A依存的なDNA損傷修復に必須である事を明らかにし、2020年3月論文投稿した。その研究を発展させるため、2020年7月よりシアトルのFred Hutchinson Cancer Research Center, Peter Nelson labへ赴任し、前立腺癌のドライバー遺伝子変異について最先端の研究を経験した。その中でSPOP変異のみならず、ERG, ETV1, CHD1, TMPRESS1, FOXA1等様々な遺伝子が前立腺癌の発癌・増悪に関与していることを学んだ。また、アジア人と欧米人の前立腺癌の遺伝子多型の相違は、注目すべきテーマであると感じた。 海外における研究滞在の経験・実績を踏まえ、日本人と欧米人の遺伝子変異を詳細に比較することで前立腺癌の耐性化の機序を明らかにできると考えた。日本では前立腺癌の体細胞変異を解析可能なデータベースが存在しないことから、新規のデータベース作成は急務である。そこで、愛媛大学として他施設共同研究に参加し日本のデータベースをまとめるとともに、Fred Hutchinson Cancer Centerと連携を取り日本人と欧米人の前立腺癌遺伝子変異を比較し、前立腺癌の増悪・薬剤耐性に関わるドライバー遺伝子を網羅的に解析し、今後治療マーカーの同定や治療薬の導出に繋げたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SPOP依存的なETV1のUb化は検出できていない。引き続き系の検討を進める。一方で、SPOPの生理機能の解析を進めた結果、SPOPがAR/TOP2A依存的なDNA損傷修復に必須である事を明らかにし、研究論文として2020年Molecular Biology of the CellにPublishした。この研究成果が認められFred Hutchinson Cancer Research CenterからOfferを受け、前立腺癌の発症・増悪に関わる最先端の遺伝子研究に携わることができた。この経験を活かし、国内他施設共同研究に協力し、国内最大の前立腺癌ゲノムデータベースの作成に参画に携わることとなり、現在準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後日本における前立腺癌体細胞変異のデータベース作成に携わることで、さらに詳細なドライバー遺伝子の探索が可能となり、日本人特有の遺伝子変異や治療薬の創出が可能となりうる。膨大なゲノムデータを臨床データと統合することにより、予後因子となりうる遺伝子変異を同定する。 さらにin vitroでは、ETV1のUb化に対するSPOPの依存性、SPOP制御剤の最適化、ETV1のAR/TOP2A依存的なDNA損傷修復における寄与の解明、AR/TOP2A依存的なDNA損傷修復過程におけるSPOPの標的基質の探索を引き続き実施する予定である。
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Causes of Carryover |
海外赴任帰国後であり期間が短かったため、次年度分として繰り越した。 データベース作成準備に関わる費用や、データ解析に関わる費用、また生化学的実験に関わる費用として使用予定である。
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